お役立ちコラム
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勤務時間中に私用メールやLINEをした従業員を注意すべき?

Q.当社では、営業職の従業員に仕事用のスマートフォンを配布しています。
ところが、勤務時間中に支給したスマートフォンで私用メールやLINEを頻繁にしている従業員がいます。
メールやLINEばかりしているため、連絡がとりにくく、注意しても改まりません。
この従業員を罰することはできますか?
給料から天引きするのは違法なのでしょうか?

A.私用メールやLINEの頻度や内容にもよりますが、『職務専念義務』違反として懲戒処分の対象となる場合があります。
ただし、これらの行為が懲戒処分の対象であることが明確にわかるよう、あらかじめ就業規則に明記しておくことが前提となります。

勤務時間中の私用メールは『職務専念義務』違反となる可能性も?

基本的に、従業員が仕事中に私用メールやLINEを行うことは、懲戒処分の対象となり得ます。
なぜなら、従業員には勤務時間中は仕事に集中しなければならないという『職務専念義務』が課されているからです。
そのため、私用でメールやLINEをすることは『職務専念義務』に反する行為とみなされる場合があります。

ただし、そもそも従業員側が『私用でメールやLINEを行なってはいけない』という認識を持っていないことも考えられます。
そのため、まずは会社から従業員に対して、それが『職務専念義務』違反にあたることを説明し、今後は控えるように口頭で注意しましょう。

また、今後、会社側と従業員側との認識のズレを防ぐためにも、就業規則の中に『私用メールやLINEを禁止する』という明確な規定を記載しておくのが安心です。
あるいは、入社時に従業員から『職務に専念する』という旨の誓約書を提出してもらうのも有効な手段です。

これらのステップを踏んだうえで、実際に懲戒処分を科すためには、就業規則で懲戒理由をあらかじめ定めておく必要があります。
もし何の規定もない場合は、たとえ勤務時間中に従業員が私用メールやLINEをしても、罰することができなくなる可能性もありますので注意が必要です。

懲戒処分にするにはメールの頻度や内容も重要

私用メールやLINEをしたからといって、すべてのケースを懲戒処分の対象とするのは、厳しすぎます。
長年にわたって働いていると、ときには家族への緊急連絡など、生活上やむを得ないケースも出てくるでしょう。
何もかも禁止するのではなく、処分を行うときは、従業員が行なった私用メールやLINEの頻度や内容を精査してから判断することが必要です。

たとえば、ある会社が勤務中に1日2通程度の私用メールを行なった従業員を懲戒解雇処分にしました。
しかし、納得のいかない従業員が会社を訴えたところ、裁判では『仕事をするうえでの支障になるほどではない』とみなされ、『解雇は無効』という判断が下されました。
つまり、私用メールを行なった従業員に懲戒処分を下したとしても、内容が軽微であれば、場合によっては裁判で覆されてしまうこともあり得るのです。

一方、出会い系サイトの利用など、会社の業務と関係なく完全に個人が遊ぶ目的で、5年間という長期にわたって3,000件ものメールをやり取りしていた従業員を解雇したケースがありました。
この場合は、裁判でも『解雇は妥当である』と判断されました。

従業員への懲戒処分を適切に行うためには、まずは就業規則に懲戒理由を明記することが大切です。
そのうえで、私用メールやLINEの頻度や内容を考慮することが重要になってきます。
処分を下した後に労働トラブルに発展することを防ぐためにも、上記2点をしっかりと押さえておくようにしましょう。


お役立ちコラム

労働条件通知書と賃金規程の違いとは?就業規則作成時の注意点を解説

従業員を採用する際、「労働条件通知書」や「雇用契約書」の準備、そして「就業規則」や「賃金規程」の整備など、多くの書類作成が必要になります。
これらの書類がそれぞれどのような役割を持ち、内容にどのような違いがあるのかを正確に把握しておくことは、健全な組織を運営するうえで必要不可欠です。

特に賃金に関するルールは、労働基準法に基づいた適切な運用が求められ、不備があると未払い残業代などの労務トラブルや、助成金の不支給に直結します。
本記事では、労働条件通知書と賃金規程・就業規則の明確な違いから、作成・見直し時のポイント、専門家へ代行依頼するメリットまでを詳しく解説します。

目次

労働条件通知書と賃金規程・就業規則にはどのような役割の違いがあるのか

労働条件通知書と就業規則の大きな違いは、「個別の約束」であるか「全体のルール」であるか、です。
それぞれの違いを簡潔に説明します。


1. 役割の違い

・労働条件通知書(個別の約束)
特定の従業員に対し、「あなたの給与・勤務地・時間はこれです」と明示する書類です。
その人固有の条件を確定させる役割があります。
・就業規則・賃金規程(全体のルール)
全従業員に共通して適用される「社内の法律」です。
休暇制度や服務規律など、組織全体の公平性を保つためのルールが記されています。


2. どちらが優先されるか?

通知書と就業規則で内容に違いがある場合、『労働者にとって有利な方』が優先されるのが原則です。

・「通知書」のほうが条件がよい場合
個別の合意が尊重され、通知書の内容が優先されます。
・「通知書」のほうが条件がよくない場合
労働契約法の規定により、就業規則に達しない部分は無効となります。
この場合、強制的に就業規則の基準まで引き上げられます。


種類 対象 性格
労働条件通知書 個人 個別のオーダーメイド条件
就業規則 全体 組織の最低基準・共通ルール

会社は「就業規則を下回る契約」はできないという点を押さえておきましょう。

賃金規程と就業規則を別々に作成するメリットと労働基準法上の注意点

就業規則を作成する際、給与に関する定めを「賃金規程」として切り分ける手法が一般的です。
なぜ別々にするのか、その理由と法的な注意点を整理します。


1. 賃金規程は「就業規則」の一部

法的な位置づけとして、賃金規程は独立したルールではなく広義の就業規則の一部です。
労働基準法で記載が義務づけられている「賃金の決定や支払方法」を、利便性のために別冊にしているに過ぎません。

2. 別立てにするメリットは高いメンテナンス性

別立てにしている最大の理由は、変更頻度の高さへの対応です。

柔軟な改定:昇給ルールの見直しや手当の新設など、賃金周りは社会情勢に応じて頻繁に調整が必要です。
効率的な管理:服務規律などの基本ルールと分離することで、改定箇所が明確になり、事務作業や周知の負担を軽減できます。

3. 作成・変更時の法的な義務

別冊であっても、手続きは通常の就業規則と全く同じです。

1. 意見聴取
従業員代表(過半数代表者など)から意見を聴き、意見書を作成する必要があります。
2. 労基署への届出
作成・変更のたびに、意見書を添えて労働基準監督署へ届け出る義務があります。
3. 周知
従業員がいつでも確認できる状態にしておくことで、初めて法的な効力が発生します。


賃金規程の別立ては、「運用のしやすさ」において大きなメリットがあります。
ただし、別冊だからといって「届出が不要」になるわけではありません。
法的なプロセスを正しく踏み、戦略的な規程運用を心がけましょう。

規程の別立てや法的なプロセスに少しでも不安がある方は、まずは当法人の無料診断をご活用ください。

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雇用契約書や労働条件通知書と就業規則の内容が矛盾するリスクと対策

現場で起こりがちな「書類間のズレ」は、単なる事務ミスでは済まされない大きなリスクを秘めています。


1.「言った言わない」を防ぐ法的な解釈

雇用契約書と就業規則の内容が矛盾している場合、労働契約法に基づき『労働者に有利な条件』が優先されます。

契約書が有利な場合:その個別合意が優先されます。
契約書が不利な場合:契約書の内容は無効となり、強制的に就業規則の基準まで引き上げられます。

安易な個別約束は、後に予期せぬ未払いトラブルや訴訟へと発展する火種となります。

2. 助成金申請における「整合性」の重要性

実務上の大きな落とし穴が助成金です。
キャリアアップ助成金等の審査では、雇用契約書、就業規則、賃金台帳の一貫性が厳格にチェックされます。
わずかな文言のズレや、規程にない手当の支給があるだけで、『不支給』判定を受けるリスクがあるため、書類間の整合性は必須です。

3. 定期的な見直しと対策

書類間の矛盾を防ぐには、法改正に合わせたテンプレートの更新が不可欠です。

雛形の一元管理:就業規則を改定したら、必ず労働条件通知書のフォーマットも修正しましょう。
優先順位の明記:契約書内に「本契約に定めのない事項は就業規則による」と記載し、主従関係を整理しましょう。

「たかが書類のズレ」と放置せず、常に一貫性を持たせることが会社を守る近道です。

従業員とのトラブルを未然に防ぐための就業規則作成における必須項目

就業規則は、会社を守り従業員が安心して働くための『リスクマネジメントの盾』です。
トラブルを未然に防ぐために、必ず盛り込むべき要素を整理します。


1.「絶対的必要記載事項」の徹底

法律で記載が義務づけられている項目を完璧に整えることが、トラブル回避の第一歩です。

賃金と昇給:決定方法、計算、支払日、昇給基準を明確にします。
時間と休日:始業・終業時刻、休憩、休日、休暇の種類を具体的に定めます。

ここが曖昧だと、「残業代の計算不一致」などの致命的な紛争に直結します。

2. 最新の法改正への適合

古いテンプレートのままにしていると、知らないうちに「違法な規則」となってしまう可能性があります。

割増賃金率:月60時間超の残業代(50%以上)など、最新の基準が反映されているか確認しましょう。
休暇管理:有給休暇の5日取得義務化など、現行法に適合した運用ルールを明文化します。

3. 現代の働き方(副業・テレワーク)への対応

柔軟なルール作りは、優秀な人材の定着にもつながります。

副業規程:許可制や届出制を導入し、機密保持と本業への支障を防ぐルールを設けます。
テレワーク:通信費の負担、労働時間管理、セキュリティ対策を明記します。


1. 基本の徹底(絶対的必要記載事項)
2. 法の更新(残業代・休日)
3. 変化への対応(副業・テレワーク)

この3軸を意識することで、会社の実態に即した「守りに強い」就業規則が完成します。

社会保険労務士に就業規則作成や労働条件の整備を代行依頼するメリット

「ネットの雛形」での運用には限界があります。
労務のプロである社会保険労務士に依頼する、実務的な利点を凝縮して解説します。


1. 法的な整合性の完全担保

労働条件通知書・雇用契約書・就業規則の「三者の矛盾」をゼロにします。
プロが整合性を隅々までチェックし、トラブル時に会社を確実に守る盤石な体制を構築します。

2. 助成金受給の可能性を最大化

多くの助成金は「適切な規則の整備」が受給の絶対条件です。
要件を熟知した社会保険労務士が受給から逆算して規程を作成するため、文言ひとつによる不支給リスクを防げます。

3. 行政手続きの代行で本業に専念

意見聴取から労基署への届出まで、煩雑なプロセスを一貫して代行します。
経営者が本業に集中できる環境を作り、法改正への追随もスムーズに行えます。


確かな安心を、プロの手で

自社対応で見落としたリスクは、将来大きなコストとなり得ます。
貴社の実態に即した「生きた就業規則」の作成は、ぜひ私たちACCS社会保険労務士法人へご相談ください。

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正確な書類整備が企業の信頼性を高め円滑な労務管理を実現する

今回のまとめ:信頼される会社になるための3ステップ

1.「労働条件通知書」と「就業規則」をセットで整える
これらは「個人の約束」と「会社のルール」という車の両輪です。
両方が正しく揃って初めて、トラブルのないスムーズな経営が可能になります。
2.「なんとなく」の管理が最大のリスク
書類が曖昧だと、将来的なトラブル(労働争議)や、もらえるはずの助成金がもらえないといった大きな損失につながるおそれがあります。
3.「今のルール」が最新か確認する
法律はどんどん変わります。
「昔作ったから大丈夫」ではなく、今の法律や実態に合っているかを専門家にチェックしてもらうことが、会社を守る一番の近道です。


「自社の書類は大丈夫かな?」と少しでも不安を感じたら……。
トラブルを未然に防ぎ、自信を持って経営に専念するために、ぜひ一度プロの視点で点検してみませんか?

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お役立ちコラム

人事の基礎をあらためて理解して、人材育成と業務の効率化を実現させる!

働き方や働く側の意識が多様化している現代。
これまで一般的だった終身雇用に陰りが見え始め、転職に対するマイナスイメージが減っています。
また、スキルアップや見識を広めるためなど、副業を持つ人たちも増えているようです。

このような時代のなかで、多くの会社に配置されている人事はその役割をしっかりと理解し、自社にとって必要な人材の確保や育成に努めなければなりません。

では、時代の変化に対応していくためには、これからどういった人事を目指していくべきなのでしょうか。
ここではその一助となる基本的な人事の役割や身に付けるべきスキル、トレンドなどをお伝えしていきます。

なぜ会社に人事が必要なのか

業種を問わず、多くの企業に設置されている人事部門ですが、そもそもなぜ、会社に人事担当が必要なのでしょう。

その理由は、自社の経営戦略に合わせて必要な人材を見極め、自社が抱えるリソースを適切に配置していくためです。
現代は少子高齢化による労働人口の減少や雇用制度の変化によって、人材の確保が難しくなっています。
さらに、転職が珍しいことではなくなり、より条件のよい働き方を求めて人材が他社へと流れてしまうことも多くなってきています。

だからこそ、企業は優秀な人材を求めて採用競争を続けるために、採用から教育、評価など人を維持する仕組みを専門的に行う人事が必要となったのです。

このように、人事は社内の活性化・企業発展を踏まえて採用、教育、評価を計画的に行い、人材を管理する役割があるため、経営戦略や目標の実現に直結した部門として企業には必須なのです。

人事の役割

人事の役割として主なものは、「採用」「配置・育成」「評価」「労務」「環境整備」の5つです。

「採用」

多くの人事が深くかかわる業務は、人材の採用です。
その内容は、採用する人材の募集から選考、内定後のケアや入社の手続きなど長期かつ多岐にわたります。

また、自社に必要な人員計画を立案し、それに沿って企業説明会を実施するなど募集活動を行います。
選考について人事はもちろん、各部署と協力して行う場合もあるため、社内でしっかりと連携が取れていなければなりません。

「配置・育成」

人材を採用した後の育成や配属先の決定も、人事の大切な役割です。
OJT(On The Job Training)や、Off-JT(Off The Job Training)の計画に沿って人材配置を行い、育成をスタートします。
内容は企業によって異なりますが、新人研修、OJT、ジョブローテーションと、必要に応じて定期的に研修を行なっていくのが一般的です。
長期的な教育計画を立てている企業も増えています。

「評価」

従業員の評価制度を整えるのは、人事の大切な役割です。
公平・公正に仕事を評価してくれる会社でなければ、従業員はモチベーションを保てません。
従業員のモチベーションを高めることは、会社全体の業績向上に大きく影響します。
そのため、人事は、昇進や給与について公正で透明性のある評価制度に取り組むことが求められます。

「労務」

人事は、従業員の労働に関係する事務処理にも携わる場合が多いでしょう。
主な業務は、勤怠データ、給与計算、各種保険や厚生年金の手続き、健康診断、福利厚生の整備などです。

「環境整備」

従業員が働きやすい環境を整備することも人事の重要な役割です。
福利厚生の検討などに加え、社内コミュニケーションを活発にするためのイベントの企画、社内報の作成や社内SNSの活用なども行います。

人事の年間スケジュール

人事部が最も忙しいのは、3~4月の入社や転勤の時期と、半期を過ぎた10月といわれています。
しかし、それ以外にも年間を通して労務関連などのさまざまな業務があるため、おおまかな業務の内容とそれぞれの時期を把握しておくとよいでしょう。

1月~3月 給与支払報告書の提出
4月~6月 定期昇給、健康介護雇用保険料率変更、住民税変更、労働保険料の申告書提出
7月~9月 算定基礎届、賞与計算、賞与支払届提出、被扶養者状況再確認リスト提出、高齢者・障害者雇用状況報告書提出
10月~12月 新標準報酬へ変更、厚生年金料率変更、最低賃金変更、年末調整・賞与計算および賞与支払届提出

人事部の年間スケジュールは、1年を通じて計画性が求められる業務と、毎月定期的に処理しなければならない業務が入り混じっているのが特徴です。
1年のなかで、どの時期にどのような仕事が行われているのかを把握して、無理のないスケジュールを組んでおくことが、自社の人材活用や人材育成の推進につながるでしょう。

人事に向いている人材

一般的に人事に向いているといわれるのは、このような人です。

・コミュニケーションスキルが高い
・機密保持に対してしっかりとした意識を持っている
・公平な考え方を持ち、客観的かつ中立的に考えられる

人事は社内・社外の多くの人とつながる仕事です。
そのため、積極的にコミュニケーションを取ろうという姿勢を持つ人のほうが向いている傾向があります。
社外とのやり取りでは、会社の顔として相手によりよい印象を与える対応が求められ、社内に対しては従業員の相談やトラブル解決と幅広い対応が必要です。

そして、人事部の業務は社外秘の情報を取り扱うことが多いため、得た情報を外部に漏洩させない意識を持っていることが大前提です。
従業員の悩みや相談内容について守秘義務を守るのはもちろん、自社の機密情報を外部に漏らすようなことがあれば大きなトラブルになることもあるため、最大限の注意が必要なのです。

加えて、多くの声を聞く立場だからこそ、それに対して冷静に対応でき、客観的で中立的な判断を下せる人が人事という仕事に適しています。
公平なジャッジができない人事では、社内での信頼を失ってしまうでしょう。

ここまでご説明した3つの要素を兼ね備えた人材は、人事の仕事に向いているといえます。

人事に必要なスキル

人事の仕事は、社内外問わず多くの人とかかわるものです。
業務を円滑に進めるためには、よりよい人間関係を円滑に築いていく必要があります。
どういったスキルが人事に求められているのか、加えて、人事の業務を通して得られるスキルをまとめました。

人事に求められるスキル

・誰に対しても明るく対応できるコミュニケーションスキル
・スケジュールや進捗に対する管理能力
・機密情報や個人情報に対する守秘義務を徹底して守れること

人事の業務によって得られるスキル

・労働に関する法律的な知識
・コミュニケーションスキル
・人事についての戦略的思考
・機密情報などの適切な取り扱い方

上記のようなスキルのほか、業務に必要なパソコンのスキル、正確な作業やスピードも重要となります。
さらに、怒りを管理するアンガーマネジメントも重要です。
アンガーマネジメントとは、単純に怒らないことではなく、トラブルを防ぐために怒りをコントロールすることを言います。
必要な場面で的確に怒り、不要な時には怒りを抑えられるスキルは、人事の仕事にも効果的です。
また、人の感情についても把握・理解できるようになるでしょう。

このように、人事にはさまざまなスキルが求められ、業務を通じて得るものも多いのです。

人事の面から企業をリードする最高人事責任者・CHRO

今、人事に新たな変化が起きています。
これまでよりも人事に強さが求められるようになり、新たなポストや言葉が注目されるようになっています。

新たに注目されるポストCHROとは

近年、人事の業務で聞かれるようになったのは、CHRO(最高人事責任者)というポストや戦略人事という言葉です。
これまでの人事は経営陣が立案した方針や戦略に沿って採用・育成・管理を行なってきたのに対して、CHROは人事面から戦略を考えて実行していきます。
グローバル化が進むビジネスの世界で日本が競争力を高めるには、世界に通用するリーダーが必要になります。
そうした人材を育成するために、企業を人事の面で牽引していくのがCHROです。
実務的ではなく、経営的な責任を持つ役職です。

まだ今の日本ではCHROという役職を設定している企業は限られています。
それにはいくつかの要因がありますが、CEO(最高経営責任者)が兼任している場合が多いことや、CHROとなるべき人材が不足していることなどが考えられるでしょう。
CHROには非常に広い知識とスキルが求められるのです。

今後の人事の役割と戦略

労働人口の減少や転職の増加などから、優秀な人材を確保することはこれからの企業の重要課題となるでしょう。
『人』がもっとも大切な資源となっています。
今までのように、人手が足りないから採用を行うというスタンスでは、いつまで経っても優秀な人材を育て、定着させることは難しいでしょう。
これまで人事部が行なっていた業務を超える役割や権限が必要になります。
それをCHROが持ち、経営的な判断も含めて行うのが、人事戦略です。

知っておくべき人事の知識

人事の業務は、仕事の幅が広いのが特徴です。
募集や採用、育成、そして退社に至るまで、さまざまな手続きに対応する必要があります。
さらに勤務におけるトラブルや労働管理についても都度の対応や処理を行うことになります。

そして、労働については法律が制定されている部分も多いため、その知識も必要です。

ここでは人事として最低限知っておくべき労働に関する法令、「労働三法」と「労働三権」についてお伝えしていきます。

労働三法

労働三法とは、労働者を守るための「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」という3つの法律の総称です。

1. 労働基準法
労働条件に関する最低基準を定めたもので、労働時間や賃金の支払い、休日などの規定を言います。正社員だけでなくすべての労働者が対象です。

2. 労働組合法
労働者の地位向上を目的に、会社(使用者)と対等に話し合いや交渉ができるように労働組合をつくることを保障した法律です。

3. 労働関係調整法
労働組合法と関連しつつ、労働者と会社(使用者)間の争いごとを予防・解決することを目的とした法律です。

労働三権

労働三権とは、憲法28条で保障された労働者の基本的権利で、地位を守るものです。
以下の3つを指します。

1. 団結権
労働者が勤務条件の維持や改善などのために労働組合を結成する権利です。

2. 団体交渉権
労働者が結成した労働組合が、使用者(会社)と交渉する権利です。

3. 団体行動権
労働組合が交渉以外にストライキや集会を行える権利です。

人事の魅力、やりがい

企業が成長するために一番重要なのは人と言われています。
その人材を育成する立場にある人事業務は大変やりがいのあるものです。

また、多くの人とつながりを持てるのも魅力の一つです。
業務のなかで会社の組織づくりに参加するなどの機会も多いため、会社を基盤から支える実感も得られます。
さらに、自分の業務だけでなく、かかわった人の成功や成果で充実感や達成感を味わえるのも人事ならではといえるでしょう。
こういった経験の積み重ねは、人事としての自信にもつながっていくはずです。

ここまでご紹介してきたように、人事とはさまざまな役割があり、求められるものも幅広い仕事です。
また、表舞台に立つことは少ないかもしれません。
しかし、採用や育成を通じて自社を支えることが、この仕事の大きな価値といえるでしょう。

日本の人事が抱える課題

少子高齢化による労働人口の減少は年々深刻化しています。
加えて、キャリアアップ、スキル向上などを目的とした転職が一般化してきました。
働き方も多様化し、かつてのような終身雇用、年功序列という日本ならではの働き方が変わりつつあります。

実際に、大卒者の離職率は高まり、入社後3年以内に離職する早期離職は30%を超えています(厚生労働省:新規学卒就職者の離職状況)。
入社して1年以内で辞める割合は11~12%ですが、この数字は実は1970年代からそれほど変化していません。
しかし、人口が減っているのに数字が変わらないということが問題なのです。

2035年問題という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。
2025年から団塊世代が後期高齢者(75歳以上)となり始め、2035年には団塊ジュニアが65歳以上になると人口全体の33.4%、3人に1人が高齢者となるといわれています。
これにより、介護や医療、年金、経済への影響が懸念されているのです。
介護が必要な人が増えても、それを担うための介護職員が足りず、医療についても同様に医者看護師、病院や病床も不足すると予想されています。
年金制度のバランスが崩れ、労働者不足で経済にもダメージが大きいでしょう。
今後はさらに人材の確保が難しくなっていくのです。

では、なぜ早期離職を選ぶ人が多いのでしょう。
離職者はいくつかのタイプに分かれますが、大きく分けて4タイプです。

1. 賃金や労働条件などが合わない場合
2. 思っていた以上の成果を求められる、会社の将来性に不安があるという場合
(入社後にわかる)
3. 上司や同僚と合わないなど、会社側の問題
4. 家庭の事情やスキルアップを目指すなど、社員側の問題

もちろん、やむを得ない理由もあります。
しかし、スキルアップや人間関係など企業側で対処可能なものも多いのではないでしょうか。

人事の仕事は幅広く大変ですが、現場の協力も仰ぎ、会社全体で人を育てていくような仕組みづくりを目指すとよいでしょう。

人事の強力な助っ人・社会保険労務士に相談しよう

働き方改革の推進、コロナ禍による変化、多様な働き方の増加などにより、人事の業務範囲が広がったことで、これまで以上に負担が増えています。
労務管理なども重要ですが、これまでお伝えしてきたように、人事の仕事で最も重要なのは、人を採用し、育て、維持すること。

労務管理の負担が増えてしまうと、これらの業務に支障が出てしまうかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、人事労務の専門家である社会保険労務士への相談です。

社会保険労務士は、労働社会保険諸法令に基づく書類の作成や、労務管理のコンサルティングを行う国家資格者です。
複雑な給与計算や社会保険の手続き、法改正に伴う就業規則の改定などを外部のプロに委託することで、人事担当者は「人材育成」や「組織開発」といった、よりクリエイティブで戦略的な業務に集中できるようになります。
また、最新の法改正情報に基づいたアドバイスを受けることで、コンプライアンス違反によるリスクを未然に防ぎ、従業員が安心して働ける環境を盤石なものにできる点も大きなメリットです。

もし、人事労務の頼れるパートナーをお探しなら、ぜひACCS社会保険労務士法人にお気軽にご相談ください。

企業が成長する過程で、採用・定着・労務リスクといった「人」に関する課題は必ず複雑化していきます。
私たちACCS社会保険労務士法人は、単なる事務手続きの代行にとどまらず、就業規則の作成や36協定の整備はもちろん、人事評価制度の構築からその運用・定着までをトータルでサポートいたします。

未払い残業代やハラスメントなどの労働トラブルを未然に防ぐリスクマネジメントを行い、貴社が本業に専念できる「強い組織づくり」を全力でお手伝いすることをお約束します。

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これからの人事に必要とされる戦略人事とは

先述のCHROで、これからの時代は優秀な人材の確保と維持がさらに難しくなることをお伝えしました。
人材を最大限に活かすことで経営戦略を実現するのが戦略人事(戦略的人的資源管理)です。
それが具体的にどのようなものか、これからの人事は知っておく必要があります。

戦略人事は企業が持つ資源「人・金・モノ」のうちの人に注目し、人的マネジメントによって企業の目的達成をサポートします。
従来の人事と異なり、採用や育成、人材配置の際にも経営的な目線を持った業務進行をしなくてはなりません。
管理を中心とした部門から、戦略的な業務を行う部門へと変わっていくことが求められているのです。

しかし、日本ではまだ戦略人事を取り入れている企業は多くありません。
戦略人事の重要性について認識しつつも、導入や実施に至っていないのが現実です。
その原因には、「人事部門は理解していても経営陣がまだ認識していない」「リソースや能力の不足」などの問題があるようです。

戦略人事を提唱したデイビッド・ウルリッチ氏によると、戦略人事を構成するのは4つの人事機能だといいます。

・HRBP(HRビジネスパートナー)
 ――事業戦略を理解しつつ、人事と組織の戦略を立案・実行できる経営者のパートナー
・CoE(センターオブエクセレンス)
 ――人事制度の設計や制度づくりを行い、HRBPを支える
・Ops(オペレーション部門)
 ――人事の実務を行う
・OD&TD(組織開発&タレント開発)
 ――組織を率いて企業の次世代のリーダーを育成していく

もちろん、こういった機能をすぐに社内に整えていくことは難しいかもしれませんが、CHROや戦略人事の役割などを意識していくことは、今後の自社の人事部門にとってとても重要なことになるはずです。

まとめ

人事には、これまでのような管理の仕事に加え、新たな業務も増えています。
時代の流れに合わせて働き方や採用方法などが変われば、人事の業務内容や役割も変化していきます。
今後はさらに人材の採用、教育、そして優秀な人材の定着が企業の課題となるでしょう。
その時に労務管理に追われて人事が機能しないと、大切に育てた人を失うということにもなりかねません。

今回ご紹介した人事の基礎や役割、求められるスキルについてあらためて確認することはもちろん、新たなポストCHRや戦略人事など、これからの企業に必要となることについても学んでおくことは人事としてとても重要です。
今後目指すべき道も見えてくるでしょう。

社会保険労務士をはじめとした外部の専門家の力を借りながら、実務の効率化と組織の活性化を両立させ、時代の変化に左右されない「強い人事」を築いていきましょう。
企業を支える「人」の可能性を最大化させることこそが、人事という仕事の最大の醍醐味であり、会社の未来を切り拓くカギとなるはずです。


お役立ちコラム

助成金申請に就業規則は必須?作成・見直しが必要なタイミングと注意点を解説

「キャリアアップ助成金を申請したいが、今の就業規則で通るのか?」「従業員が増えてきたが、就業規則はいつ作成すべきか?」といった悩みを抱える経営者は少なくありません。
助成金受給において、就業規則は審査の「土台」となる最重要書類です。

この記事では、助成金申請と就業規則の関係性から、見直しが必要な5つのタイミングや、専門家へ作成代行を依頼するメリットまで、実務の観点からわかりやすく解説します。

キャリアアップ助成金などの申請に、就業規則の作成は必要?

キャリアアップ助成金などの申請には、従業員の人数にかかわらず就業規則の作成が実質的な「絶対条件」となります。
「従業員が10人未満だから不要」という考えは、助成金申請においては通用しません。

1. 助成金審査の「要」はルールの明文化
助成金は、正社員化などの施策を「公式ルール」として導入した企業に支給されます。
審査では「就業規則に制度が明記されているか」が厳格にチェックされるため、規則がない状態では申請すら受理されません。

2. 10人未満でも作成が必要な理由
労働基準法上の届出義務がなくても、助成金申請では「労働条件の明文化」が必須です。
10人未満の事業所であっても、労働基準監督署の受付印がある規則の提出を求められるケースが大半です。
法律上の義務と受給要件は別物ととらえるべきです。

3. 「雇用契約書」との食い違いは不支給リスク
規則を作成しても、個別の雇用契約書と内容が矛盾していると不支給リスクが高まります。
「就業規則では手当あり、契約書ではなし」といった不一致は、労務管理が不適切とみなされます。
申請前には、必ず社内規定と個人との契約を整合させましょう。

助成金活用は、会社のルールを整える好機です。
「攻め」の受給と「守り」の労務管理を両立させるため、まずは実態に即した就業規則の作成から始めましょう。

就業規則の作成・見直しが必要な5つの重要なタイミング

「一度作成したから安心」と放置していませんか?
就業規則をアップデートせずにいると、助成金が受給できないだけでなく、思わぬ労務リスクを抱えることになります。
以下の5つのタイミングに該当する場合は、すぐに内容を確認しましょう。

1. 助成金の新規申請を検討したとき
キャリアアップ助成金などは、「要件を満たす規定が規則に明記されていること」が受給の絶対条件です。
正社員転換制度が未記載、あるいは古いままでは、どれだけ実績があっても申請すら受理されません。

2. 法改正が行われたとき
育児・介護休業法や働き方改革関連法など、労働法制は頻繁に改正されます。
最新の法改正に対応していない規則は、内容が無効になるだけでなく、コンプライアンス違反として企業の信頼を損なうおそれがあります。

3. 従業員数が10名に達した(達しそうな)とき
従業員が常時10名以上になると、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が法律で義務づけられます。
「そろそろ10人になりそうだ」という時期が、正式なルールを整備すべき法的な期限です。

4. 労務トラブルのリスクを減らしたいとき
SNS利用による炎上や、カスハラ(カスタマーハラスメント)、メンタルヘルスに伴う休職など、トラブルの内容は時代とともに変化しています。
これらに対する規定が不十分だと、問題発生時に会社を守ることができません。

5. 働き方が多様化したとき
テレワークの導入、副業の解禁、フレックスタイム制の採用など、社内の仕組みを変える際は規則との整合性が不可欠です。
現場の運用とルールが食い違っていると、深刻なトラブルの引き金となります。

就業規則は会社と従業員を守る「契約書」です。
自社の実態とルールが乖離していないか、この機会にぜひチェックしてみてください。


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不備があると不支給に?助成金審査でチェックされるポイント

助成金申請において、就業規則は審査の核心です。
施策を実施しても、就業規則の内容に不備があれば不支給となるリスクがあります。
審査で特に重視されるポイントを絞って解説します。

1. 最新の法改正への対応
古い規則のままでは「法令遵守」ができていない状態とみなされます。
育児・介護休業法の改正や、残業代の割増率など、最新の法的基準をクリアしていることが受給の大前提です。

2. 実態と規則の整合性
「規則の記述」と「給与・勤務実態」が矛盾していると厳しく追及されます。
手当の計算方法や固定残業代の設定が、賃金台帳や出勤簿と1円単位の計算、および法律に則った1分単位の労働時間管理と一致しているか、精緻な確認が必要です。

3. 適正な周知プロセス
規則は作成しただけでは無効です。
労働者代表からの意見聴取や、従業員がいつでも閲覧できる状態にあるかといった「周知の事実」が、公的支援を受けるための必須条件となります。

助成金審査は厳格化しています。
確実な受給には、専門家のチェックを通じて法適合性と実態との整合性を完璧に整えることが不可欠です。

就業規則作成を社会保険労務士などの専門家へ代行を依頼するメリット

就業規則は自作も可能ですが、受給やリスク管理を確実にするなら社会保険労務士への依頼が賢明です。
プロに外注することで得られる主なメリットを整理します。

1. 助成金受給率の向上
助成金審査は厳格で、一文字の記載ミスが不支給に直結します。
専門家は「受給要件を満たす条文構成」を熟知しているため、受給の可能性を最大化できます。
申請に特化した規程の整備は、プロならではの強みです。

2. 法改正への迅速な対応とリスク回避
労働法制は頻繁に改正されます。
専門家へ依頼すれば、常に最新の法令に適合した規則を維持でき、古い雛形を使い続けることによる法的リスクを払拭できます。
改正のたびに自社で調べ直す手間もありません。

3. 経営リソースの集中と信頼構築
複雑な書類作成を外注することで、経営者は本業の意思決定に集中できます。
また、プロの視点による客観的で公平なルールづくりは、従業員の安心感につながり、無用な労務トラブルを未然に防ぐ「組織の安定」にも貢献します。

就業規則は会社を守る盾です。
不備による不支給や紛争を避けるためにも、プロの知見を活用して、会社の成長を支える強固な基盤を構築しましょう。

適切な就業規則が会社を守り、助成金活用を加速させる

就業規則は単なる提出書類ではなく、紛争から会社を救う「守護神」であり、助成金を引き寄せる「最強のツール」です。
助成金申請を機に規則を見直すことは、公的支援を受けながら組織を最新の状態へアップデートする絶好のチャンスとなります。
まずは現在の規則が最新の法令や受給要件に適合しているか、プロの視点で確認することから始めましょう。


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お役立ちコラム

制服代の自己負担はどこまで可能?給与天引きの法的ルールと就業規則の書き方

Q.当社は飲食店を経営しており、制服代として毎月300円を給料から天引きしています。
しかし、従業員から「仕事で使うものを個人が負担するのは違法ではないか?」という意見が出ました。
給料から天引きするのは違法なのでしょうか?

A.結論からいうと、適切な手続きを踏めば可能ですが、勝手に行うと違法となる可能性が高いです。

労使協定の締結が必須

『賃金支払の原則』の一つとして、労働基準法第24条第1項にて『賃金は、全額を支払わなければならない』と定められています。
つまり、制服代などを勝手に賃金から天引きすることは禁じられています。
ただし、以下のケースについては天引きが認められています。

(1)社会保険料や税金など、法令に定めがある場合
(2)労働組合(※1)と労使協定を締結した場合

※1
労働者の過半数で組織される労働組合。なお、労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者。

したがって、『制服代を給料から天引きすること』をあらかじめ労使協定で締結している場合、労働基準法第24条に関しては『違反ではない』といえます。

ただし、たとえ労使協定を締結し、本人の同意があったとしても、制服代を天引きした結果、残りの賃金を労働時間で割った単価が「最低賃金」を下回ることは許されません。
天引き後の実質賃金が、最低賃金を下回らないよう注意が必要です。

雇用契約書などへの明記が不可欠

労働基準法第15条第1項にて『使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない』と定められています。
なお、この『その他の労働条件』には、『労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項』も含まれると労働基準法施行規則第5条に規定されています。

そのため、雇用契約書や労働条件通知書などに『制服代を給料から天引きする旨』を明示し、雇用契約の際に従業員から同意を得ていれば、労働基準法第15条にも『違反していない』といえるでしょう。

就業規則への記載がない天引きは無効?

常時10人以上の労働者を使用する場合には、就業規則を作成し、行政官庁(労働基準監督署)に届け出る義務があります。
そして、就業規則の相対的必要記載事項(※2)として、『労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項』を必ず明記しなければなりません(労働基準法第89条)。

※2
定めをする場合、必ず記載しなければならない事項。

つまり、就業規則に『制服代を給料から天引きする旨』を規定していれば、労働基準法第89条についても『違法ではない』といえます。

高額な自己負担額はNG?

以上のことから、労働組合または、労働者の過半数を代表する者と労使協定を締結し、雇用契約書や就業規則に『給与から天引きする旨』を明記していれば、違法とはならないでしょう。
ただし、常識的な金額から逸脱する『高額な自己負担額』は認められない可能性もあるので注意が必要です。

制服代などを給料から天引きする場合は、必ず雇用契約書などに明示したうえで、雇用契約をする前に従業員に口頭でも説明するとよいでしょう。


お役立ちコラム

就業規則を作成しないと労使トラブルが起きた時に困る!よくある労使トラブルと回避方法を紹介

「うちは小さな会社だから就業規則なんて必要ない」

——その油断が、労使トラブルを招く最大の原因です。
突然の残業代請求、パワハラの訴え、不当解雇の主張……。
そのとき、ルールがなければ会社は一気に不利に。

この記事では、実際によくある労使トラブルの事例と、それを未然に防ぐための「就業規則の力」をご紹介します。備えあれば憂いなし、労使トラブルはルールで防げます。

労使トラブルとは?

労使トラブルとは、会社と従業員の間で起こる労働条件などの対立や問題を指します。
たとえば「残業代が支払われない」といった未払い問題は典型的な例です。

なぜ労使トラブルが起こるのか?
・契約やルールがあいまい
・就業規則が整備・周知されていない
・上司の対応に納得できない
こうした場合に誤解・不信感が生まれ、トラブルに発展します。

労使トラブルが影響する範囲は?
・従業員側:ストレス、離職、収入減
・企業側:訴訟・炎上、信頼低下、採用難

労使トラブルは現代の課題です。
かつては「空気で察する」職場が多かったですが、今は権利意識の高まりや働き方の多様化により、明文化されたルールが求められる時代です。

就業規則の整備こそ、最大の労使トラブル予防策です。

就業規則と労使トラブルの関係

労使トラブルの多くは「ルールがない」から起きる企業と従業員の間で起こる「労使トラブル」です。
原因の多くは、就業規則がない・曖昧・周知されていないことです。

労使トラブルとは?
たとえば下記のようなものです。
・解雇・退職の揉め事
・残業代の未払い
・ハラスメント
・副業の禁止や制限
・育休復帰のタイミング など

なぜ労使トラブルの話で就業規則が話題に?
就業規則は企業のルールブックです。
たとえ合理的な処分でも、就業規則に明記されていなければ無効になる可能性があります。

雇用の多様化でルール整備が必須に
労働者として正社員だけでなく、パート・アルバイト・副業従事者も増加している昨今、待遇の違いからトラブルが生じやすくなっています。
→ 就業規則があれば、対応に一貫性を持たせ、誤解や不公平感を防げます。

裁判でも就業規則がカギに
労使トラブルが裁判に発展すると、
・就業規則の有無
・内容の合理性
・従業員への周知状況
が、会社の主張の信頼性を左右します。

就業規則がなければ、労使トラブルを予防することも、対応することも難しくなります。

労使協定と就業規則の関係

就業規則と労使協定は、企業の労務管理に不可欠な社内ルールですが、それぞれ性質や効力に違いがあります。

就業規則と労使協定の違い
就業規則は企業が一方的に定める労働条件の基本ルールで、労働時間・賃金・休暇・退職などを記載しており、従業員10人以上で作成義務があります。
労使協定は企業と労働者代表が合意の上で締結するもので、36協定のように法律の例外を許す「特例的ルール」として機能します。

法律との関係と優先順位
就業規則も労使協定も、上位法に反する内容では効力を持ちません。
優先されるのは以下の順序です。
1. 憲法
2. 法律(労働基準法など)
3. 条例・条約
4. 労使協定
5. 就業規則
たとえ労使合意があっても、労働基準法より不利な内容は無効です。

労使トラブル時に重視されるのは?
トラブルが裁判などに発展した場合、重視されるのは法令とその適用です。
就業規則や労使協定が古かったり、従業員に周知されていなかったりすれば、会社が不利になる可能性が高くなります。

就業規則も労使協定も、法令の枠内で適切に整備・運用されてこそ、その力を発揮します。
ルールの『中身』と『伝わり方』の両面が重要です。

労使トラブルが起こったときに就業規則がないとどうなる?

就業規則が整備されていないと、企業と従業員の間で認識のズレが起きやすく、それが労使トラブルの火種になります。

退職時の労使トラブルを例にあげて詳しく見ていきましょう。
■ 退職時の労使 トラブルの例
・退職時の対応が曖昧
 → 退職希望日や引き継ぎ方法で揉める
・副業の可否が不明
 → 従業員が副業していたことで懲戒処分、しかしルールがなく無効になるケースも
・遅刻・欠勤の扱いが不明確
 → 勤怠のルールを巡って不公平感が生まれる

■ 従業員にとってのリスク
・自分の権利が守られていないと感じる
・処分や評価の理由が曖昧で、不安・不信が募る
・結果としてモチベーションの低下や離職につながる

■ 企業にとってのリスク
・解雇や懲戒の正当性を証明できず、裁判で不利になる可能性
・就業規則が未整備だと、助成金の申請ができない場合が多く、経営上の損失に

ルールがなければ、トラブル解決も困難になります。
就業規則は、企業と従業員の共通のルールブックです。
これがなければ、トラブルが起きた際にも判断の拠り所がなく、感情的な対立に発展しやすくなります。

就業規則を作成することで労使トラブルを回避できる!

「就業規則を整備すれば、労使トラブルを100%防げるのか?」
この問いに対する答えはNOですが、それでも会社を守る「盾」になるのは間違いありません。

■ ルールがあれば、ブレないで対応できる
たとえば、以下のような場面で効果を発揮します。
・懲戒処分の基準が明文化されていれば、処分の妥当性を示せる
・残業代の支払いルールが定められていれば、請求トラブルを防ぎやすい
・有給休暇の取得についての運用方針を周知していれば、対応に一貫性が出る
就業規則による明確なルールがあることで、従業員との認識のズレを防ぎやすくなり、 労使トラブルの予防策として非常に有効です。

■ 裁判でも有利に働く「証拠」になる
万が一、労使トラブルが裁判や労働審判に発展した場合でも、
・合理的な内容であること
・従業員に周知されていること
この2点を満たした就業規則があれば、会社の主張に法的な正当性が生まれます。

■ 就業規則は「経営の安全装置」
・トラブルの発生を未然に減らす
・万一発生しても、有利に進められる
就業規則は、企業にとって欠かせないリスク管理ツールです。

就業規則 作成 メリット

よくある労使トラブル

1. 残業代・賃金に関する労使トラブル
労働基準法で定める時間外労働・割増賃金の支払いなどが守られないケースです。
企業と従業員の間で「勤務実態」と「支払い要件」のズレがトラブルに発展します。
たとえば、使用時間と賃金が明確にされておらず、未払い請求や是正勧告が行われることがあります。

2. 解雇・懲戒に関する労使トラブル
就業規則・労働契約に明記されていない懲戒や解雇を巡って、従業員側が「合理的理由がない」と主張するケースです。
裁判や労働審判では、就業規則の有無・条文内容・説明・周知が重要な判断材料になります。

3. ハラスメント・休職・復職に関する労使トラブル
パワハラ・セクハラ、メンタル不調による休職後の扱い、復職時の条件などがあいまいなために発生します。
こうした労使トラブルでは、従業員の心理的ダメージだけでなく、企業イメージや採用にも大きな影響が及びます。

統計データから見る「労使トラブルが発生しやすい状況」
・厚生労働省の「労使コミュニケーション調査」では、労使間の意思疎通・苦情処理機関の整備などがテーマとしてあげられています。
・同省の「労使間の交渉等に関する実態調査」では、正社員以外の労働者の待遇・交渉状況が調査されており、非正規雇用を巡るトラブルの比率が高いことも示唆されています。

これらのデータは、労使トラブルが起きやすい 構造的な背景を示しています。
言い換えれば、「ルールが曖昧/周知が不十分」「複数の雇用形態が混在」「個別対応で対応されてきた」という職場では、特に労使トラブルが起きやすいということです。
就業規則が整備されていない・実状とズレがあるという企業では、ぜひ見直しを検討することをおすすめします。

引用元:厚生労働省「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況

“総合労働相談件数は高止まり。助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数は前年度より増加。総合労働相談件数は121万412件で、4年連続で120万件を超え、高止まり。”

このように、総合労働相談は年間120万件を超えて、個別労働関係紛争の相談も26万件を超えています。
労使トラブルが起こってしまってから対抗するルールを定めても遅いのです。
明日は我が身と考えて早めに対策しておくことが大切です。

もし労使トラブルが起きてしまったら

就業規則がある場合の対応方法
就業規則が整備されていれば、以下のようにスムーズな対応が可能です。
・就業規則を根拠に事実関係を確認
 → トラブルの原因が「ルール違反」か「制度のあいまいさ」なのかを整理できます。
・当該ルールをもとに適切な処分・対応を実施
 → 懲戒処分や警告、再発防止策を明文化された手順で進められます。
・裁判・労働審判でも有利に進めやすい
 → 「合理的なルールがあったか」が判断基準になるため、防御力が高まります。

就業規則がない場合の対応方法
就業規則が未整備の場合、対応は難航しがちです。
・ルールの不在で対応基準が曖昧
 → トラブルの判断が個人の主観に依存しやすく、感情的対立になりやすい傾向にあります。
・解雇や懲戒の根拠が不十分
 → 不当解雇とされるリスクが高く、法的リスクも大きくなります。
・トラブルが長期化・泥沼化しやすい
 → 話し合いがまとまらず、労働局・労働審判・裁判へと発展するケースもあります。

まとめ

就業規則がないままでは、トラブルの『火種』を放置しているのと同じです。
解雇・残業代・ハラスメント・副業──現代の労使トラブルは複雑化し、一度もめれば金銭・時間・信頼すべてに大きな損失が生じます。

ACCS社会保険労務士法人では、豊富な実績をもとに、御社の現場に即したトラブル回避型の就業規則を提案・作成します。

トラブルが起こる前に、今すぐご相談を!
将来の安心は、「ルールづくり」から始まります。


お役立ちコラム

就業規則を作成しないと助成金がもらえない?

「助成金を申請したい。でも、就業規則が古いまま……」
「そもそも作っていない……」

——そんな不安を抱える中小企業の方は少なくありません。

実は、雇用関係助成金や働き方改革推進支援助成金など、多くの助成金の申請において、「就業規則の整備・明記」が申請条件に含まれていることがあるのです。
つまり、ルールがなければ、お金ももらえない可能性があるということです。

せっかくの支援制度を「書類不備」で逃す前に、まずは就業規則の見直し・作成から始めましょう。
今こそ「制度の整備=経営の武器」です。

結論:就業規則がないと、助成金の受給はほぼ「不可能」

中小企業にとって貴重な助成金制度。
しかしその多くは「就業規則の整備」が支給条件です。
就業規則を作成していなければ、そもそもスタートラインに立てないこともありえます。

また、作成済みでも制度に対応していない内容や古い規定ではNGです。
『形だけ』の就業規則では通用せず、助成金の要件を満たす内容であることが重要です。

「まだ作っていない」「昔のまま」という場合は、今すぐ見直ししましょう。
チャンスを逃さないための第一歩です。

就業規則と助成金の関係

助成金は、厚生労働省が所管し、主に「雇用関係助成金」としてハローワークや労働局などを通じて支給されます。
これらの助成金を受給する際、就業規則の整備は「必須条件」となるケースが非常に多いのが現状です。

なぜ就業規則が関係するのかというと、助成金は新たな雇用制度や職場環境の整備に対して支給される制度だからです。
つまり、「実施している」だけではなく、社内規程(=就業規則)に明記していることが、その実施の『証明』として求められるのです。

たとえば以下のような助成金では、特定の制度が就業規則に明文化されていることが支給の前提になります。

助成金名 求められる就業規則の内容
キャリアアップ助成金 契約社員やパートタイマーを正社員に転換する制度の明記
両立支援等助成金 育児休業・介護休業・時短勤務制度などの規定整備
人材確保等支援助成金 福利厚生・働き方改革制度などの導入と明文化
働き方改革推進支援助成金 時間外労働の上限設定・年次有給休暇取得促進の制度化

たとえば「正社員転換制度」を導入する場合、対象者・転換要件・実施時期などを就業規則に明記しているかどうかが審査の分かれ目になります。

就業規則を作成しないと助成金がもらえないと言われる理由

多くの助成金では、制度の導入内容を就業規則に明記していることが条件となっており、未整備だと「制度が証明できない」とされるからです。

例:
・キャリアアップ助成金 → 正社員転換制度の明記が必要
・両立支援等助成金 → 育児・介護制度の明文化が必要

つまり、助成金を活用するなら就業規則の整備は必須です。
小規模企業でも、早めの作成が損を防ぐ第一歩となります。

やみくもに就業規則を作成するだけでは助成金の申請が通らないこともある!

就業規則が「ある」だけでは、助成金の申請は通りません。
助成金の制度ごとに必要な内容を盛り込んだ『実効性のある就業規則』であることが必須条件です。
たとえば、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の場合、以下のような内容が就業規則に明記されている必要があります。

就業規則に必要な内容(例:正社員化コース)
・有期雇用から正社員への転換制度を定めていること
 (転換の対象者・タイミング・手続きが明確になっている)

・正社員と非正規社員の待遇差が分かる労働条件の明示
 (賃金・賞与・手当・労働時間など)

・制度の周知と実施実績
 (実際に制度を適用した記録や通知書類などが必要)

上記のような具体的かつ制度運用が確認できる内容が欠けている場合、申請しても不支給となる可能性が高くなります。

「とりあえず作った就業規則」では対応しきれません。
助成金の要件に対応した設計と文言が必要です。

制度に合った就業規則の作成は、労務の専門家への相談をおすすめします。

既に就業規則が在る場合でも、助成金に対応できているか見直しが必要

「うちは就業規則をちゃんと作ってあるから大丈夫」――本当にそうでしょうか?

助成金の申請には、制度の『実施』だけでなく「規定の整備」も審査対象となります。
しかし、内容が古いまま放置されている就業規則では、申請が通らないケースが増えています。

✅ 助成金申請前に見直しておくべき主なポイント
・雇用形態転換制度の規定
 例:有期雇用から正社員への転換ルール(キャリアアップ助成金)

・育児・介護休業に関する規定
 例:育児休業の取得要件や対象範囲(両立支援等助成金)

・時間外労働・年次有給休暇の管理方法
 例:残業時間の上限・有休5日取得義務への対応(働き方改革推進支援助成金)

・テレワークや副業に関する取り扱い
 時代に合わせた柔軟な働き方への対応が求められるケースが増加中

助成金の制度は毎年のように更新されており、それに就業規則も対応している必要があります。

すでに就業規則がある企業こそ、定期的な見直しとアップデートが不可欠です。見直しの際は、助成金制度に精通した社会保険労務士への相談が最も確実です。

助成金に対応した就業規則を作成しよう

助成金を受給するためには、就業規則に「制度の内容」がしっかり記載されていることが条件になるケースが多くあります。たとえば、正社員転換制度や育児休業制度の整備は、その代表例です。

でも実は、それだけではありません。

助成金対応の就業規則にはこんなメリットもあります。

・労使トラブルを未然に防げる(ルールが明確になる)
・従業員の安心感アップ(待遇や制度の可視化)
・社内制度の見直し・整理ができる(働きやすい職場づくりに)
・採用面でも好印象(法令順守の姿勢が伝わる)

「助成金をもらうため」だけでなく、会社の基盤を整えるチャンスとして、就業規則の見直しや作成を検討してみましょう。

就業規則の作成方法

助成金に対応した就業規則とは?

助成金に対応した就業規則とは、助成金の支給要件を満たす制度内容が明確に盛り込まれている就業規則のことを指します。

✅ たとえば、こんな就業規則が「対応済み」
・【キャリアアップ助成金】
 →「正社員転換制度」が明記されている
・【両立支援等助成金】
 →「育児・介護休業制度」が具体的に記載されている
・【働き方改革推進支援助成金】
  →「テレワーク勤務制度」「副業可否のルール」が定められている

❌ 一方で、こんな就業規則は「非対応」
・古くて法改正に対応していない(例:改正育児介護休業法未反映)
・制度の記載があいまいで、運用ルールが明文化されていない
・実態と乖離していて、助成金申請時に証拠として使えない

助成金を申請したい企業は、単に「就業規則がある」だけでなく、助成金要件にマッチした内容かを確認・見直すことが重要です。

助成金に対応した就業規則を作成する方法と依頼先

助成金を受給するためには、「対応した就業規則」の作成が欠かせません。
以下の流れで進めるとスムーズです。

✅ 就業規則作成の流れ
1. 活用できる助成金を探す
  → 厚生労働省のHPや社会保険労務士事務所の情報が参考になります。
2. 助成金の申請条件を確認する
  → 対象者の要件や、就業規則への明記が求められる内容をチェック。
3. 就業規則の設計・見直し
  → 条文に制度の導入内容や運用ルールを具体的に記載。
4. 専門家に相談する(推奨)
  → 書類の整合性や要件の満たし方に不安があれば、社会保険労務士に相談を。
5. 労働基準監督署へ届け出る

📝 おすすめの依頼先は「経験豊富な社会保険労務士事務所」
理由はシンプルです。
・助成金の要件や最新情報を熟知している
・審査傾向や落とし穴も把握している
・就業規則の設計・作成・届け出までワンストップ対応できる

はじめて助成金を活用する場合は、無理に自社だけで進めず、実績のある社会保険労務士に相談することが成功の近道です。

就業規則を改定するか、作り直すかどっちがいい?費用や工数、メリットなどを比較

〜費用・工数・メリットで比較〜
就業規則がすでにある企業の場合、「作り直し」よりも一部改定のほうが一般的にはおすすめです。

✅ 改定のメリット
・必要な部分だけを見直せばOK
・費用や時間を大幅に削減できる
・実態や法改正に合わせて柔軟に対応できる

❌ 作り直しが必要なケース
・内容が古すぎて現行制度に対応していない
・条文が曖昧・体系がバラバラで修正よりも再構築が早い
・助成金申請などで正確かつ最新の制度明記が求められる

結論:
就業規則がベースとして機能しているなら「改定」で十分です。
ただし、内容次第では一から作り直したほうが効率的な場合もあります。
判断に迷うときは、社会保険労務士などの専門家に相談するのが安心です。

まとめ

多くの助成金は「就業規則に制度が明記されていること」が申請条件。
つまり、就業規則がない=受給資格がないも同然です。
さらに、古いまま放置された就業規則では申請が通らないケースも少なくありません。

📣 今すぐ、就業規則をチェック!
「まだ就業規則を作っていない」
「助成金に対応しているか分からない」
そんな方は、実績豊富な社会保険労務士に相談するのが最短ルートです。
就業規則を整備して、助成金を『確実に』受け取りましょう!


お役立ちコラム

就業規則を作成するメリット・デメリットを解説

「トラブルが起きてからでは遅い。」
就業規則は、会社と従業員を守る『見えない盾』です。
知らなかった・決まってなかった──それだけで裁判や損害に発展する今、就業規則の整備は「任意」ではなく「必須の備え」と言えるでしょう。

この記事では、そのメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

就業規則を作成するメリットとは?

就業規則は、法律で義務づけられているから仕方なく作るもの——
そう思っている方も多いかもしれません。
しかし、就業規則を作成・整備することは、会社経営にとって非常に大きなメリットがあります。

たとえば、労使トラブルの予防、助成金の申請、人件費の抑制、従業員の安心感の向上など、経営リスクの回避から生産性の向上まで、幅広い効果が期待できます。

特に、労務リスクの高まる現代においては、「きちんと就業規則が整っているかどうか」が、企業の信頼性を左右する要素にもなっています。

このページでは、就業規則を作成することのメリット、あるいは、作成しないことのデメリットについて、実務に即してわかりやすく解説していきます。

就業規則を作成することで回避できる労使トラブル

就業規則を作成するデメリットとは?

作成前に押さえておきたい注意点

就業規則には多くのメリットがありますが、作成や運用に一定の負担があるのも事実です。
ここでは主なデメリットを簡潔にご紹介します。

1. 作成に費用がかかる
社会保険労務士に依頼すると10~30万円前後の費用がかかることもあります。
自作する場合でも法的整合性の確認が必要です。

2. 工数・時間がかかる
労働条件の整理や条文設計など、現状把握から完成まで多くの工程が発生します。
複数部署が関与する場合はさらに複雑になります。

3. 従業員への「周知」が必要
作成後は、掲示や配布などでの周知が義務となっています(労働基準法第106条)。
「作って終わり」ではなく、従業員が内容を理解できる状態にする必要があります。

4. 定期的な見直しが必要
法律改正や制度変更に対応するため、継続的なメンテナンスが不可欠です。
対応しないと、内容が実態とずれてしまうおそれがあります。

5. 従業員の合意に時間がかかることも
ルールが不利益変更と受け取られると反発が起こる場合もありえます。
副業制限や懲戒規定などは特に慎重な説明が必要です。

それでも就業規則は作るべき

手間や費用はかかりますが、トラブル予防・リスク管理・信頼性向上などのメリットはそれ以上です。
就業規則は「会社を守る盾」として、経営における重要な投資といえます。

就業規則を作成しないメリットとは?

就業規則はリスクを未然に防ぐ備え

就業規則は企業運営に重要な役割を果たしますが、従業員が常時10人未満の事業場には作成義務がありません。
そのため、「作成しない」ことによる以下のようなメリットもあります。

1. 費用がかからない
専門家に依頼したり、法的チェックを行なったりするコストが不要です。
労使関係が安定している小規模企業では、「必要ない」と判断することもあります。

2. 更新・メンテナンスが不要
法改正や制度変更のたびに就業規則を見直す必要がないため、継続的な対応や工数を省けます。

3. 柔軟な運用ができる
就業規則がなければ、社内ルールが固定されず、状況に応じて個別対応しやすいという考え方もあります。

一方で、社内ルールが不明確だとトラブル時に大きなリスクを招く可能性があります。
就業規則は『不要なコスト』ではなく、『リスクを未然に防ぐ備え』として考えることが重要です。

就業規則を作成しないデメリットとは?

「作らない選択」がもたらすリスク

就業規則は常時10人以上の労働者がいる事業場では法的義務がありますが、それ未満の企業でも作成しないことで重大なリスクを抱えることになります。

1. 罰則リスク
義務があるのに作成・届出を怠ると、30万円以下の罰金や企業名の公表につながる場合があります(労働基準法第120条など)。

2. 助成金が申請できない
多くの助成金は就業規則への制度明記が支給条件となっています。
未整備では申請そのものができません。

3. 従業員とのトラブル発生
ルールが不明確だと「不公平」「言った言わない」が起こりやすく、モチベーション低下や離職の要因になります。

4. 残業管理ができない
就業規則がなければ時間外労働のルールが曖昧になり、未払い残業代・是正指導・訴訟リスクが高まります。

5. 労使紛争で企業が不利に
懲戒や解雇を就業規則に基づかず行うと、裁判で無効と判断される可能性が高まります。

6. 統一ルールがなく信頼を失う
部署ごとに対応がバラつき、従業員の不満やSNS炎上、内部告発の原因になりかねません。

小規模企業こそ整備を
「まだ小さい会社だから」と放置せず、トラブル予防と信頼維持のためにも、就業規則は早めに整備すべきです。
会社を守る『経営の防波堤』として活用しましょう。

就業規則を作成しなかった場合の罰則とは?

就業規則を作成してメリットがある企業は?

— 結論、就業規則はすべての企業で必要です —

「まだ小規模だから不要では?」と考える方も多いですが、就業規則はすべての企業にとって有益です。
労働時間・賃金・休暇・退職・ハラスメント・副業など、トラブルの火種となりやすい項目について、明確なルールを定めておくことで労使トラブルの予防や公正な対応が可能になります。

特に、以下のような企業には就業規則の作成を強くおすすめします。

・制度やルールが曖昧な企業
 ⇒「残業代の起算点は?」「有休の取得条件は?」など、日常的な疑問を解消できます。

・ハラスメント・副業・SNSなど新しい課題に備えたい企業
 ⇒ 曖昧なままだと従業員トラブルに発展するリスクがあります。

・これから事業拡大や営業所の新設を予定している企業
 ⇒ スタッフや拠点が増える前に、共通ルールを整備することが重要です。

・助成金を活用したい企業
 ⇒ 多くの助成金で「就業規則に制度が明記されていること」が申請条件になっています。

たとえ義務のない規模でも、リスク予防・信頼構築・制度活用の観点から、就業規則は「経営の安全装置」として機能します。
今こそ、将来を見据えて整備しておくことが賢明です。

就業規則の作成義務がある企業とは?

労働者が常時10人以上になったら作成義務あり

就業規則の作成義務は、常時10人以上の労働者を使用している事業場に課せられています(労働基準法第89条)。
この「10人」には、正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員・派遣社員など雇用形態を問わずカウントされる点に注意が必要です。

就業規則の作成・届出義務とは?

就業規則には作成だけでなく届出の義務もある

就業規則は作成するだけでなく、所轄の労働基準監督署への届出が義務付けられています(労働基準法第89条・第90条)。
対象となるのは、常時10人以上の労働者を使用する事業場です。

「作るだけでいい」と思っていた方は、ぜひこの機会に届出の手続きまで確認しておきましょう。

就業規則は届出されていなくとも効力を発揮する?

届出がなされていない就業規則であっても、一定の条件を満たせば効力が認められるケースがあります。

その代表例が、フジ興産事件(最判 平成15年10月10日・最高裁第二小法廷)です。
この事件では、労働基準監督署への届出がされていなかった就業規則について、「労働者に周知され、その内容が合理的であれば、就業規則としての効力を持つ」と判断されました。

つまり、届出がなかったとしても、

・労働者に周知されていること
・内容が合理的であること(社会通念上妥当)

この2点がそろっていれば、就業規則の法的効力が認められる可能性があるということです。

ただし、これはあくまで例外的な扱いです。
トラブル時に企業側が不利になるリスクを避けるためにも、就業規則は必ず正しく届出しておくことが最善です。

就業規則はメリット・デメリットを考えずに作成すべき!

安心して働ける環境にするためにも必須

就業規則は、「作ったほうがいいかどうか」を検討するものではありません。
就業規則は労使トラブルを回避できる「保険」のような存在です。
一度でもトラブルが起これば、作成費用をはるかに上回るコストと時間を失う可能性があります。

メリット・デメリットを比較する以前に、作るのが当然。迷っている時間があれば、まずは一歩踏み出すことが、経営者としてのリスク管理の第一歩です。

まとめ

就業規則を作成することで、労使トラブルの予防や助成金申請、従業員の安心感向上など、多くのメリットが得られます。一方で、作成や更新には費用や手間がかかることもありますが、トラブル発生時の損失を考えれば、十分に元が取れる「経営の保険」です。

義務のある企業はもちろん、それ以外の企業にとっても、就業規則は備えておくべき必須のルールブックといえるでしょう。


お役立ちコラム

就業規則の作成義務とは?作成・届出しないとどうなる?

はじめに

「うちの会社、就業規則って作らなきゃいけないの?」

従業員が増えてきたとき、あるいは人事トラブルや労務整備の必要性が高まったとき、こんな疑問を持つ方は少なくありません。

実は、一定の条件を満たす会社には、就業規則の「作成義務」や「届出義務」が法律で定められています。そしてこの義務を怠ると、行政指導や罰則、最悪の場合は企業名が公表されるリスクもあるのです。

本記事では、就業規則の作成義務とは何か、どんな会社に適用されるのか、作らなかったり届出をしなかったりした場合にどのような不利益があるのかを、法律の根拠と実例を交えて分かりやすく解説します。

「作るべきかどうか」だけでなく、「いつまでに、どうすべきか」も理解できる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

就業規則には作成義務がある!

まずは、「なぜ作成義務があるのか」「誰が・いつ・どの法律で決めたのか」、そして「就業規則制定の目的」といった根幹部分を押さえましょう。

    • なぜ作成義務があるのか?
      就業規則を明文化することで、労働時間、休日、賃金、解雇理由などの労働条件を明確にし、労使間のトラブルを未然に防止します。法的に整備されたルールがあることで、企業と従業員双方が安心して働ける環境が構築されます。

 

    • 誰が・いつ・どの法律で定めたのか?
      1947年に制定された「労働基準法」(昭和22年法第49号)によって定められ、厚生労働省の前身が主導して制定。戦後、労働者の権利保護と職場秩序を確立する目的で導入されました。

 

    • 該当する法律と条文

      以下が、就業規則に関する主な法的根拠です。

      労働基準法 第89条(就業規則の作成および届出義務)
      常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署に届出なければならない

      https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_9-At_89

 

    • 就業規則制定の目的とは?
      目的 内容
      労働条件の明確化 賃金、労働時間、休暇などを明記し、認識ズレを防止
      労使トラブルの未然防止 解雇や懲戒、残業などで争いを回避
      職場秩序の維持 服務規律や安全衛生の基準を提示
      法令遵守の徹底 労働法令と整合する制度構築
      従業員の安心感 ルールが明示されることで安心して働ける
      経営安定・採用への影響 信頼ある企業イメージ形成につながる
      このように、就業規則は単なる事務的な書類ではなく、企業と従業員の信頼関係構築や、法令遵守を前提とした制度設計の土台でもあります。

就業規則の作成義務が生じるケース

就業規則の作成義務は、「常時10人以上の労働者」を使用する事業場に課されます(労働基準法第89条)。
ここでの「10人」は、正社員だけでなく、雇用契約が継続している労働者すべてを指します。


    • 数え方の基本と注意点
      雇用形態 カウント対象 補足
      正社員 常時雇用されていれば全員対象
      パート・アルバイト 労働時間や日数に関係なく、雇用契約があれば対象
      契約社員(有期雇用) 雇用契約期間中は対象
      育児休業・産休中の社員 雇用契約が継続していればカウント
      長期病気休職中の社員 解雇等されていなければ対象
      役員 役員はNG、使用人兼務役員はカウント
      派遣社員(受入側企業) × 派遣元でカウントされるため対象外
      登録だけされている超短期勤務者 実態として雇用継続がなければ対象外になることも
      定年退職予定者・死亡した社員 × 在籍していなければ対象外
      グループ会社で兼務している社員 就業場所ごとの事業場単位でカウントされる

    • イレギュラーな例の仮定と考え方
      ・年に数日しか働かない登録制パート:
      →雇用契約があり、事実上の継続雇用と認められるなら対象。
      →臨時的に使用する有期雇用者は常時使用する労働者には含まれません。
      ・グループ企業での兼務:
      →それぞれの事業場でカウントする場合
      A事業所とB事業所を兼務している従業員がいる場合、A事業所の人数に1名、B事業所の人数に1名としてカウントします。→出向・在籍出向の場合:
      雇用契約を結んでいる元の会社(出向元)にカウントされます。出向先の会社ではカウントしません。
      ・育児休業中の社員が複数名いる:
      →復帰予定があれば、休業中でもカウントされる。
      →介護休業や、休職中の人もカウントされます。


    • 判断に迷ったら
      「常時10人以上」かどうかの判断は、単なる人数ではなく「継続的な雇用実態」に基づきます。一時的な増員や登録のみの人材は対象外とされることもあるため、迷ったら専門家か労基署に相談するのが確実です。

就業規則の作成義務が生じないケース

就業規則の作成義務は、常時10人以上の労働者を使用している場合に限られます。
そのため、従業員が常時9人以下の事業場には、法的な義務はありません(労働基準法第89条)。ただし、義務がない=不要というわけではありません。10人未満の会社であっても、トラブルを未然に防ぐために就業規則を作成するメリットは大きいです。


    • 作成義務がない理由と背景
      労働基準法は、規模の小さい企業の負担を軽減する観点から、義務の対象を「常時10人以上」に限定しています。
      しかし近年は、労働条件や働き方に関するトラブルが増加しており、従業員の規模に関係なくルールの明文化が求められる時代です。
      作成義務がない状況においても、トラブルを未然に防ぐために就業規則を作成することをおすすめします。

複数の事業所(営業所、支店等)がある場合は?

作成義務と届出義務に関する従業員数は、1事業所あたりの労働者をカウントします。仮に会社全体の労働者数が10人を超えていても、1事業所あたりの労働者が10人未満であれば、義務は発生しません。

A事業場は10人以上、B事業場は10人未満の場合の場合、B事業場については、作成義務や届出義務はありませんが、同一企業であれば、同一のルールで運用したほうが、会社全体として最適な運営が可能となります。本社にて一括して就業規則の作成を行い、届出を行うことも可能ですので、同じルールを作成したほうが良いでしょう。

就業規則は作成義務に加えて、届出義務もある!

就業規則は、作成するだけでは不十分です。労働基準法第89条により、「常時10人以上の労働者」がいる事業場では、所轄の労働基準監督署への届出も義務付けられています。

届出をしないまま運用を始めると、法的には「未届出」と見なされ、是正勧告や罰金の対象になることがあります。


    • 届出義務の時期と必要書類

      就業規則の作成または変更から速やかに、以下の書類を添えて届出る必要があります。

      ・就業規則本体
      ・労働者過半数代表の意見書(労働基準法第90条)

      届出書と意見書のWordファイルは、以下のページからダウンロード可能
      https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/dl/25.docx

就業規則の作成方法

就業規則を作成するには、労働基準法などの関連法令を踏まえながら、自社の実情に即した労働条件や社内ルールを文書化する必要があります。

作成手順(基本の流れ)

1.現状の労働条件・制度を整理
2.就業規則のひな形(厚労省など)を参考に文案を作成
3.法令違反がないかチェック
4.労働者代表の意見聴取(労基法第90条)
5.労働基準監督署に届出


    • 就業規則制定の目的とは?
      内容 概算
      作成期間 約2週間〜1か月(自作の場合)
      作成コスト 自作=無料、社労士依頼=5〜20万円程度

    • 必要な知識・資格
      作成自体に資格は不要ですが、労働基準法、パートタイム・有期法、育児介護休業法などの正確な理解が必要です。
      自社での作成に不安がある場合は、社会保険労務士への外注が有効です。

    • 外注のメリット(例)
      ・法改正や判例動向を踏まえた内容にできる
      ・リスクの見落としを防げる
      ・スムーズに労基署対応まで任せられる

就業規則の届出方法

届出には、以下の書類が必要です。これらを「2部」づつ準備しましょう。「1部」は提出用。もう「一部」は自社の控えで労働基準監督署の受領印をもらった上で保管しましょう。

・就業規則(賃金規程、育児介護規程等、作成したすべての規程)
意見書(労働者の過半数代表者が署名または記名押印)
届出書(就業規則(変更)届)


    • 届出の期限・方法
      作成・変更後すみやかに届出る必要があります(明確な日数制限はないが、原則「直ちに」)。
      ・提出先は、事業所を管轄する労働基準監督署です。
      電子申請(e-Gov)にも対応しています。

就業規則の作成義務に関するよくある質問

Q1.就業規則の作成義務は、従業員が何人から発生しますか?

A.労働基準法第89条により、常時10人以上の労働者を使用する事業場に就業規則の作成と届出が義務付けられています。正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員もカウント対象です。


Q2.パートやアルバイトも「常時10人」に含めて数えるのですか?

A.はい、含まれます。就業規則の作成義務における人数カウントは、雇用形態に関係ありません。
常時使用しているかどうかが基準となるため、パートや短時間労働者も要注意です。


Q3.事業場単位で従業員が10人を超えた場合のみ義務があるのですか?

A.その通りです。就業規則の作成義務は「会社単位」ではなく「事業場単位」で判断します。支店や営業所ごとに10人を超えたかどうかを確認してください。


Q4.育児休業中・休職中の社員もカウントすべきですか?

A.はい。雇用契約が継続している社員は「常時使用する労働者」としてカウントされます。たとえ一時的に出勤していなくても、人数に含めて就業規則の作成義務を判断します。


Q5.派遣社員は「常時使用する労働者」に含めますか?

A.派遣元の企業の労働者であるため、派遣先ではカウントしません。ただし、契約形態によって判断が難しい場合は、専門家への相談が確実です。


Q6.就業規則は作成するだけでいいのですか?届出義務もあると聞きました。

A.作成だけでなく、所轄の労働基準監督署へ届出る義務(労働基準法第89条)があります。併せて「労働者代表の意見書」を添付(労働基準法第90条)する必要があります。


Q7.就業規則の届出をしなかった場合、罰則はありますか?

A.はい。労働基準法第120条により、30万円以下の罰金が科される可能性があります。行政指導・是正勧告を受ける前に、速やかに届出しましょう。


Q8.就業規則の作成や届出は、自社でできますか?外部に依頼する必要は?

A.自社作成も可能ですが、法改正や判例に対応するには専門知識が必要です。特にトラブル防止やリスク回避のためには、社会保険労務士に就業規則の作成・届出を依頼するのが安心です。


Q9.就業規則の作成義務があるのに、まだ作っていません。今からでも間に合いますか?

A.はい。義務が生じている以上、早急に作成・提出を行うことが求められます。過去の不備を是正するためにも、早めに社会保険労務士などの専門家にご相談ください。


Q10.就業規則を作成したら、労働者全員に説明・周知する必要がありますか?

A.はい。就業規則の効力を持たせるには、労働者への「周知」が法的に必須です。印刷して事業場に掲示する、イントラネットに掲載する、配布するなどの方法が必要です。


就業規則の作成義務や届出義務に不安がある方は、専門家に相談するのが最も確実な方法です。

就業規則の相談はACCS社会保険労務士法人まで!

・「誰をカウントすべきかが曖昧」
・「法改正に合っているか不安」
・「ひな形で作ったけど、これで本当にいいのか?」
・「忙しくて、手が回らない……」

このような悩みを抱える方は多く、制度としての就業規則は「書いて出せば終わり」ではありません。法律と現場運用の両方を理解して、初めて「意味のある就業規則」になります。


不安なまま放置するより、専門家に相談するという選択を

私たちACCS社会保険労務士法人では、法令に準拠した就業規則の作成・見直し・届出をトータルサポートしています。
会社ごとの事情に応じて、形式だけでなく実際に使える規則を提案することが可能です。

「これで大丈夫」と言い切れる安心感を得るためにも、まずはお気軽にご相談ください。


就業規則の作り方と目的について
お役立ちコラム

就業規則の作り方と目的 ~就業規則作成の注意点やポイントも解説!~

就業規則の作り方と目的について

目次

はじめに:就業規則作成の基本と重要性

就業規則は、労働者と雇用者の間の様々なルールや条件を明確に定め、働く上でのガイドラインとなります。本記事では、就業規則の作り方について詳しく解説いたします。基本的な作成方法及び企業にとっての重要性、そしてそのメリットについても詳しく解説していきます。

※注意※
この記事の内容は2024年2月現在の法律に基づいたものであり、あくまでも一解釈でしかありませんので、この記事自体が法的な証拠になったり効力を持ったりするものではございません。皆様の会社の状況や法律の解釈の違いによっては、この記事の内容が当てはまらないケースもあります。就業規則の作成や変更をされる場合、具体的な内容については必ず専門家に意見を聴くようにしてください。

就業規則を作る上での基本的な考え方

まず、就業規則を作成する上での基本としては、法律に則った内容であることが重要です。具体的には、労働基準法や関連する法令を遵守し、労働者の最低限の権利を保障する内容を含める必要があります。これには、労働時間、休日、休暇、給与、退職に関する規定などが含まれます。

就業規則の重要性

就業規則を作ることの重要性とは。就業規則の作成は雇用主と労働者どちらにもメリットがあります

就業規則は企業と労働者の間のトラブルを防ぐためのものとして最も重要です。企業側としては、明確なルールがあることで、労働者との認識の違いや、言った言わないのような論争を避けることができます。

労働者にとってのメリット

労働者のメリットとしては、国が定める労働基準に則った労働を行うことができます。また、会社のルールを理解しやすくなるため、仕事をスムーズに進めることが可能となるでしょう。

企業にとってのメリット

まず、適切な就業規則を設けることで、労働者の権利を保護し、職場環境を改善することができます。これにより、労働者のモチベーション向上にも繋がり、結果として生産性の向上も見込めるでしょう。
会社(又は1事業場)に常駐する従業員が10人以下の場合でも就業規則を作成して届け出ることで、労働者の権利を保護している企業であることの証明となるので、採用などの点においても有利になる可能性があります。

就業規則が法律に則って適切に整備されていることで、労働トラブルが発生した際の法的なリスクを低減できます。
賞与や昇給の規定罰則や減給の規定を会社のルールとして文章化しておくことも、労働者とのトラブルを防ぐために重要です。

労使トラブルの具体的な内容は、「就業規則に関する具体的な判例」をご確認ください。

就業規則の適用範囲と条件:対象企業規模は?

常時10人以上の従業員を雇用する企業の義務と条件​​​​

就業規則は、全ての企業にとって重要なものですが、特に「常時10人以上の従業員を雇用する企業」には、特に重要な義務と条件が課せられています。この部分について詳細に解説していきます。

まず、就業規則が作成と労働基準監督署への届出が法律的に要求されるのは、常時10人以上の従業員を雇用する企業(又は事業場)です。これは労働基準法第89条によって定められており、この基準に該当する企業は就業規則の作成及び労働局への届け出が義務付けられています。

就業規則 作り方 10人以上 届出義務 従業員数別比較表 10人以上の考え方と説明図。就業規則作成&届出日無従業員数別比較画像。 本社:正社員60人、パート・アルバイト20人、派遣社員5人:届出義務あり! 支社A:正社員4人、パート・アルバイト6人、派遣社員0人:届出義務あり! 支社B:正社員3人、パート・アルバイト3人、派遣社員5人:届出義務なし!

上の画像を例に説明します。

本社にて、正社員が60人、パート・アルバイト社員が20人、派遣社員が5人いたとします。
この場合はもちろん就業規則の届け出義務が発生します。

次に、支社Aを見てみましょう。
支社Aでは、正社員が4人、パート・アルバイトが6人、派遣社員が0人です。
この場合、正社員とパート・アルバイト含めて常時10人以上の社員が事業場(支社A)にて職務についていることになります。
パート社員やアルバイト社員も「常時10人以上の従業員を雇用」の対象となります。
したがって、支社A就業規則の届け出義務が発生します。

最後に、支社Bを見てみましょう。
支社Bでは、正社員が3名、パート・アルバイトが3名、派遣社員が5名とトータルでは11人が支社B(事業場)にて勤務していることになりますので、「常時10人以上」という部分には該当します。
しかしながら、派遣社員を「雇用」しているのは、派遣元の企業となりますので、支社Bで雇用されている人数は6人となります。
したがって、支社Bには、就業規則の届け出義務はないのです。

就業規則の適用範囲については、その企業に雇用されている全ての従業員が対象となります。これには、正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトの従業員も含まれます。ただし、就業規則には、異なる雇用形態に応じた適用条件や規定を設けることが可能です。仮に、パートタイムやアルバイトの従業員向けの就業規則を別で作成し正社員用の就業規則と分けて管理する場合、正社員向けの就業規則には、パートタイムやアルバイトの従業員には適応されないことを明記しましょう。

届け出の義務と罰則

届け出の義務と罰則について、従業員が10人以上なら就業規則は絶対に必要です。(1)従業員が10人以上の場合、就業規則の作成と届け出が必要。(2)従業員にはパートタイムやアルバイトが含まれる。(3)就業規則を作成したとき、変更したときは届け出る必要がある。これらを怠った場合には、罰則として、30万円以下の罰金が発生

労働基準法では、常時10人以上の労働者がいる企業(および事業場:支社や支部単位の事業所のこと)対して、「就業規則の作成」し労働局へ届け出ることを義務化しています。「就業規則の変更」した場合も同様に労働局への届け出が義務化されています。これを怠った事業所には罰則として30万円以下の罰金が発生します。

労務局では、届けだされた就業規則が法令に適合しているかどうかの確認を行います。また、就業規則に変更があった場合にも、その都度、届け出を行う必要があります。

就業規則は作成して終わりではなく、労働局に届け出て、受理されてはじめて、企業は法的な責任を果たしたことになり、就業規則もその効力を持つことになります。

就業規則に記載すべき事項について

就業規則に記載すべき事項について。絶対的必要記載事項(必ず記載しなければならない事項)相対的必要記載事項(定める場合は記載しなければならない事項)任意記載事項(その企業独自のルールなどの事項)などについて詳しく解説する画像

就業規則の条件ですが、最も基本的なのは、労働基準法及び関連する法令を遵守することです。具体的には、労働時間、休日、休暇、賃金、退職に関する規定を適切に設定し、これらの情報を従業員に明確に伝えることが必要です。

具体的には、下記の内容を記載しなければなりません。

絶対的必要記載事項(必ず記載しなければならない事項)

1.始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2.賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3.退職に関する事項(解雇の事由を含む)

相対的必要記載事項(定める場合は記載しなければならない事項)

1.退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

2.臨時の賃金等(ボーナス等)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

3.労働者に食費・作業用品その他の負担をさせる場合においては、これに関する事項

4.安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

5.職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

6.災害補償及び業務外の疾病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

7.表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

8.以上のほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

任意記載事項(その企業独自のルールなどの事項)

就業規則には、法律で定められた必須記載事項に加えて、企業が独自に設定する「任意記載事項」を含めることが可能です。これらは、その企業の特性や業務の性質、労働者の福利厚生を考慮したものであれば、より具体的で効果的な規則となります。

たとえば、以下のような事項を任意記載事項として追加することもできるでしょう。

  • フレックスタイム制度:
    柔軟な勤務時間を設定することで、労働者のワークライフバランスの向上を図ることができます。
  • 在宅勤務規定:
    テレワークやリモートワークの条件や手順を明確にし、働き方の多様化に対応します。
  • 表彰制度:
    優れた業績を達成した労働者を表彰することで、モチベーションの向上と良い職場環境を促進します。
  • 社内研修制度:
    継続的なスキルアップとキャリア開発をサポートするための研修制度を設けることができます。

これらの任意記載事項は、その内容が法令または労働協約に反しない範囲であれば、企業によって自由に設定することが可能です。ただし、これらの規定を設ける際には、労働者の意見を十分に考慮し、実務に適した形で取り入れることが重要です。

実際の労働環境に則した内容にするため現場の声を取り入れる

就業規則の作成に際しては、従業員の意見を聞くことも大切です。労働者の代表を決め意見を聞くことで、現場の声を反映させることができ、より現実に即した実効性の高い就業規則を作成することができます。

定期的に見直し修正する

就業規則は定期的な見直しを行うことが望ましいです。社会環境や労働法の変更、企業の事業内容や規模の変化に対応するため、現状に合った規則に更新することが重要です。このプロセスを通じて、企業は常に健全な労働環境を提供し、労働者の権利を守ることができると同時に、企業は従業員とのトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

労働者の代表とは

この場合の意見を聴く労働者の代表とは、企業の本店、支店等のそれぞれの事業場ごとにみて、

① 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合

又は、

② 労働組合がない場合や労働組合があってもその組合員の数が労働者の過半数を占めていない場合には、労働者の過半数を代表する者

を指します。

詳しくは、労働者の代表の選定方法についてをご確認下さい。

労働者の代表の意見について

労働法では、就業規則を作成又は変更する際に、労働者の代表の意見を聴き、その内容を意見書にまとめ就業規則と共に提出することをとを義務付けています。

労働基準法における「意見を聴く」とは

就業規則の作成時、又は変更時に、労働者の代表の意見を聴く必要がありますが、この「意見を聴く」とは、文字通り意見を求める意味であり、同意を得るとか協議を行うことまで要求しているものではありません。また、事業主としては、労働基準法上はその意見に拘束されるものではありません。したがって、就業規則を労働基準監督署に届け出て受理された後、正しく周知していれば就業規則として成立するのです。

しかしながら、労働条件は労使対等の立場で決定するのが原則ですので、あくまでも一方的に決めようとするのではなく、労働者代表の意見については、できる限り尊重することが望ましいといえます。

既存の個別労働契約書の取り扱いについて

また、労働契約を結ぶ労働者に対して後から就業規則を周知する場合、労働契約書と就業規則の条件に差分があり、就業規則の内容が労働契約書の内容が比べて、労働者にとって不利益となる場合、元々締結していた労働契約書の内容が優先されることになります。

(※厚生労働省資料より抜粋)

(※労働契約法、第二章 労働契約の成立及び変更 第七条より)

就業規則「変更時」における労使合意について

労働契約法第九、十条には次のように記載があります。


第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない

上記で記載のある第十二条の内容は下記の通りです。


第十二条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

つまり、変更の内容が、明確な理由もなく労働者にとって不利益となり、その理由が全く合理的ではない場合、労働者の代表の意見によっては、就業規則の変更の届出が受理されない場合もあると読むことができそうです。

上記について労働基準監督署の見解としては、変更時においても作成時と同様に労働者の合意は必要無いとのことです。

但し、あまりにも労働者にとって不利益になるような変更を加えなければならない場合は、お近くの専門家や事業場が属する動労基準監督署への確認を行う事をおすすめいたします。

実現可能な内容で作成しましょう

就業規則をよく見せるために、実現できないような希望的なルールを盛り込んでしまうと、就業規則変更時にトラブルが発生する可能性もあるでしょう。
労使対等のバランスの取れた就業規則の作成を心掛けましょう。

労働者の代表の選定方法について

労働者の代表の選定方法について解説。労働契約法では、労働者の代表の選定方法についても明確にルールを設けています。下記に、いくつかのパターンに分けて解説いたします。適切な選定方法をまもって正しく運用しましょう。1.労働組合が労働者数の過半数を占める場合。2.労働組合が労働者数の過半数を占めない場合。3.労働組合がない場合。その他共通の注意点についても解説。

労働契約法では、労働者の代表の選定方法についても明確にルールを設けています。下記に、いくつかのパターンに分けて解説いたします。適切な選定方法をまもって正しく運用しましょう。

1.労働組合が労働者数の過半数を占める場合

  • 代表権:
    労働組合が全労働者の過半数を代表している場合、その組合は就業規則に関して労働者の代表として機能します。
  • 役割:
    組合は就業規則の策定や変更に際して、労働者の意見や要望を代表して企業側と協議を行います。

2.労働組合が労働者数の過半数を占めない場合

  • 代表権の欠如:
    労働組合が全労働者の過半数を代表していない場合、組合は全労働者の代表としての権利を持ちません。
  • 新たな代表の選出:
    この場合、全労働者の過半数を代表する新たな代表を選出する必要があります。通常は非組合員を含む全従業員の投票によって行われます。

3.労働組合がない場合

  • 代表の選出:
    労働組合が存在しない場合、企業は全労働者から選出された代表を就業規則の策定や変更に関する協議のために用いる必要があります。
  • 選出プロセス:
    代表は全従業員が参加可能な投票などの公平な方法で選ばれるべきです。

共通の注意点

  • 透明性の確保:
    代表選出のプロセスは透明で公平であることが重要です。
  • 全労働者の意見の反映:
    代表者は全労働者の意見や利益を適切に代表し、企業側との協議において効果的なコミュニケーションを行う責任があります。

これらのガイドラインは、労働基準法に基づくものであり、全ての労働者の権利と意見が適切に保護され、反映されることを目的としています。労働者代表の適切な選出と活動は、健全な労働環境の維持と、労働者と企業の間の良好な関係構築に不可欠です。

労働者の代表選定の良い例

Good! 投票を行い、過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法
Good! 挙手を行い、過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法
Good! 候補者を決めておいて投票、挙手、回覧によって信任を求め、過半数の支持を得た者を選出する方法
Good! 各職場ごとに職場の代表者を選出し、これらの者の過半数の支持を得た者を選出する方法

労働者の代表選定の悪い例

N G ! 使用者が一方的に指名する方法
N G ! 親睦会の代表者を自動的に労働者代表とする方法
N G ! 一定の役職者を自動的に労働者代表とする方法
N G ! 一定の範囲の役職者の互選により労働者代表を選出する方法

就業規則を作成する上での留意点

就業規則を作成する際にはいくつかの留意点があります。例えば、育児・介護休業(休暇)や、セクシュアルハラスメント防止のための措置や罰則。育児・介護休業法など、他の法令で導入が義務づけられた制度や措置の取扱いに関しては、就業規則にも規定しなければなりません。

あまりに厳格すぎる規則は労働者の創造性や自由度を縛り、モチベーションの低下を招く恐れがあります。そのため、実際の職場環境や労働者のニーズや現場の声を考慮しながら、柔軟性を持たせることも重要です。

また、一度作成した就業規則を変更する場合は正しい方法で届け出る必要があるため、それなりに時間が掛かります。就業規則は修正しても届け出を行っていない場合その効果は認められませんので、修正を行った場合は必ず、届け出る必要があります。

就業規則作成チェックリスト 就業規則を作成する上で必要な事項の概要をチェックできるシートです就業規則作成TODO『✔』シート。✔就業規則の作成 or 修正。✔労働者の代表の選定。✔労働者の代表に意見を聴いく。✔意見書にまとめ、労働者の代表の署名又は押印をもらう。✔就業規則と意見書をまとめて労働基準監督署に提出(2部作成して送る)。✔就業規則が受理され、内1部が押印されて返却される。✔押印済みの就業規則一式を全社員が常にアクセス可能な形式で周知する。全て「✔」できればOK!

さらに、就業規則は一度作成したら終わりではありません。社会の変化、法令の改正、企業の成長や変化に合わせて、定期的に見直しを行う必要があります。これにより、常に時代に合った適切な規則を維持することができます。

就業規則の修正およびそれに伴う届出のための一連の作業は、とても手間が掛かりますが、会社を守り、従業員とのトラブルを防ぐためには、とても重要な作業です。必ず定期的な見直しと修正および届け出を行うようにしましょう。

下記就業規則を作成する上での必要事項の概要的なチェックシートです。ご自身で作成される場合は参考にしてください。

就業規則作成TODO『✔』シート

項目
就業規則の作成 or 修正
労働者の代表の選定
労働者の代表に意見を聴いく
意見書にまとめ、労働者の代表の署名又は押印をもらう
就業規則と意見書をまとめて労働基準監督署に提出(2部作成して送る)
就業規則が受理され、内1部が押印されて返却される
押印済みの就業規則一式を全社員が常にアクセス可能な形式で周知する

全て「✔」できればOK!

就業規則を作る上でのポイント

就業規則を作成する際には、法的なアドバイスを得ることがとても重要です。就業規則作成の専門家である社会保険労務士事務所に相談されることをおすすめします。社会保険労務士のアドバイスのもと、法律を遵守した適切な内容の規則を作成することで、企業と労働者双方にとって最適なルールを作成することができます。

以上のように、就業規則の作成は企業運営において極めて重要なプロセスであり、その作成と運用は企業の責任と言えるでしょう。適切に作成された就業規則は、企業と労働者が共に成長し、発展していくための基盤となるのです。

就業規則の作り方 Q&A

Question1

10人未満の会社について

なぜ労働者数が10人未満の企業では、作成が義務づけられていないのですか?明確な理由はありますか?

Answer1

日本における就業規則の作成に関して、労働者数が10人未満の企業で作成が義務づけられていない理由は、主に管理の負担と企業規模の関係に基づいています。小規模企業では従業員数が少なく、労働環境や労働条件が比較的単純であることが多いため、就業規則を詳細に定める必要性が低いと考えられています。また、小規模事業者に対して過度な管理負担を課すことなく、柔軟な運営を可能にするための措置とも言えます。

厚生労働省は、労働者数が10人以上の企業に対して就業規則の作成と労働基準監督署への届出を義務付けていますが、10人未満の企業については任意としています。ただし、10人未満であっても就業規則を作成し、届け出ることは可能であり、これにより企業と労働者の間のルールが明確になり、トラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。

また、労働基準法では、労働者数に関わらず一定の事項(例えば、労働時間、休日、賃金の計算方法および支払い方法など)については、労働者に明示する義務があることを定めています。したがって、10人未満の企業であってもこれらの事項は労働者に通知する必要があります。

総じて、就業規則の作成義務の有無は、企業の規模と運営の実情を考慮した結果であり、労働環境の健全な維持と企業の負担のバランスを考慮した措置と言えます。

Question2

届出先について

労働基準監督署への届け出について質問です。弊社では本社以外に2拠点の支社があり、それぞれ労働者数が10人を超えています。この場合、それぞれの地域にて別々に届け出をする必要があるのでしょうか?

Answer2

届出は、就業規則一括届出制度を利用することより、本社の所在する地域の労働基準監督署に他の支社の分もまとめて提出することが可能です。ただし、この制度は本社とそれ以外の支社での就業規則の内容が同じである場合のみに利用することが可能な制度となっているため、支社独自、本社独自のルールがある場合はこの制度を活用することはできません。また、この制度を利用する場合であっても、それぞれの支社における労働者の代表の意見書も併せて提出する必要があります。

(※就業規則一括届出制度について 東京労働局HPより)

Question3

10人未満の事業場について

弊社では本社に30人、支社Aに12人、支社Bに8人の労働者がいます。
この場合就業規則を作成して届け出る必要があるのは、本社支社Aだけでよいのでしょうか?

Answer3

就業規則の作成と届け出ることが義務化されているのは、事業場毎に労働者が10人以上の場合です。また、10人未満の事業場においては、修行規則の作成および届出は任意となっておりますので、基本的には届け出る必要はないといえるでしょう。

ただし、今後社員数を増やす可能性があれば、他の事業所と同様に作成して置くことをおすすめします。本社支社Aにはあるのに、支社Bにはないとなると、支社Bで働く方々のモチベーションが下がる可能性もあるかもしれません。
また、支店Bにて従業員とのトラブルになった際に、本社支社Aと同じ対応をすることができなくなります。例えば、本社支社Aでは、就業規則にて、降格や減給についてのルールが定められていたとしても、支社Bの労働者にはこのルールは当てはまらないことになります。


厚生労働省のテンプレート

就業規則を作成する際のテンプレートに関してご紹介します。厚生労働省のホームページでは、モデルケースとなる就業規則のテンプレートや、労働者の代表の意見をまとめる為の意見書のテンプレートを公開しています。

詳しくは厚生労働省のサイトをご確認下さい。(2024年2月現在の情報)

厚生労働省サイトの「モデル就業規則・テンプレート」はこちら>

業種別特有の注意点:IT業、小売業、飲食業のケーススタディ

業種別の就業規則作成では、IT業界、小売業、飲食業それぞれの業種特有の課題に注目し、それに合わせた規則を設定することが重要です。IT業界では、技術革新の速さ、プロジェクトベースの仕事、リモートワークの普及に伴う労働時間の管理やセキュリティ、知的財産権の取り扱いが重要なポイントとなるでしょう。

一方、小売業ではシフト制の勤務管理、パートタイムやアルバイト労働者の取り扱い、季節による業務の変動などが特徴的です。

飲食業においては、衛生管理の徹底、労働時間の調整、繁忙期と閑散期の人員配置の調整が必要です。

これらの業種固有の特徴を踏まえた就業規則を策定することにより、企業は法令遵守を保ちながら、労働者の権利を守り、良好な労働環境を提供できます。

また、業種特有のリスクや課題に対処するための明確なガイドラインを提供することで、企業と労働者双方の理解と協力が促進されるでしょう。さらに、就業規則は定期的に見直しを行い、社会の変化、法令の改正、企業の成長や変化に対応することが重要です。

結論として、IT業界、小売業、飲食業の各業種において、業種特有の注意点を考慮した就業規則の策定は、企業の持続的な発展と労働者の満足度の向上に寄与します。これにより、企業は競争力を保ちながら、労働者との良好な関係を築き上げることができるでしょう。

周知しないと効力なし!?
従業員への正しい周知手順
~掲示、共有フォルダ、冊子配布などの周知方法​​~

就業規則の効力を確保するためには、従業員への適切な周知を行うことが義務付けられています。この周知を怠った場合、就業規則はその効力を持たない可能性がありますので、必ず適切な方法で周知するようにしてください。

ここでいう周知とは、一人ひとりに個別で就業規則を渡し、内容を確認したことを把握すると言うようなことではありません

周知とは、全社員(パートやアルバイトを含む雇用される全ての人)が見ることができる環境を用意することを言います。

職場内の掲示、社内共有フォルダへのアップロード、冊子の配布などが一般的です。掲示は目に付きやすい場所に就業規則を掲示し、常にアクセス可能にします。

WEBやクラウドによる周知

共有フォルダは、デジタル化された就業規則を社内ネットワークやクラウドシステムに保存し、必ず全従業員(パートやアルバイトも含む)がアクセスできるようにします。

冊子配布による周知

冊子の配布では、新入社員や既存の社員に対して印刷された就業規則を直接配布します。これらの方法を通じて、従業員が就業規則の内容を十分理解し、それに従うことが期待されます。
冊子での配布の場合は配布漏れが起こらないようにしましょう。冊子配布を行う場合は、他の方法と併用することで、「渡し忘れ」や「渡されていないという主張」などのトラブルを防止できるでしょう。

全社員が事業場に出社するケース

全社が必ず出社するような事業場においては、就業規則を紙媒体(現物のコピー)にて特定の場所に保管し、そのもの自体が紛失していないかを定期的にチェックするのが良いでしょう。

特定の社員が出社しないで良いケース

コロナ過にて普及した在宅勤務やテレワークの導入により、会社に出社しない形態での働き方も、珍しくありません。全社員が出社することを義務づけられていないような企業においては、全社員が閲覧することのできるインターネット環境(又はイントラネット環境)等にて、就業規則を公開することで、周知したことにすることができます。

作成プロセスとチェックポイント

就業規則作成の流れと確認すべきポイント

1. 準備フェーズ

  • 法律と業界基準の確認: 労働基準法、労働契約法など、関連する法律や業界基準を調査。
  • 社内ニーズの分析: 従業員の要望、業務の特性、組織文化を考慮。

2. 草案作成フェーズ

  • 主要項目の決定: 労働時間、休暇、給与、安全衛生などの項目を決定。
  • 草案の作成: 法律と社内ニーズに基づく初期草案を作成。

3. 労働者代表の意見聴取

  • 代表の選出: 過半数以上から構成される労働組合、または過半数の労働者によって選出された代表者を決定。
  • 意見の聴取: 草案に対する意見を聴取。意見書の作成。

4. 社内検討フェーズ

  • 意見の集約と反映: 労働者代表からの意見を草案に反映。
  • 修正と調整: 草案を修正し、全体のバランスを調整。

5. 法的確認フェーズ

  • 専門家のレビュー: 法令遵守の要件を見たいしている事を確認。

6. 最終化フェーズ

  • 最終案の作成: 修正を経た最終案の作成。
  • 承認プロセス: 経営陣以外の方が作成する場合は、 経営陣や管掌役員の承認を得る。

7. 労働基準監督署への届出

  • 届出の実施: 届出書類を労働基準監督署に提出。
  • 届出の準備: 労働基準監督署への届出書類の準備。

就業規則及び意見書以外にも、賃金規程や育児・介護休業規程などがある場合は合わせて提出する必要がある。全ての必要書類をホッチキスなどで綴る

※詳細は厚生労働省資料ポイント8をご確認下さい

8. 実施と周知フェーズ

  • 周知: 全従業員に対して(新しい)就業規則を周知。

チェックポイント

  • 法規遵守:すべての項目が現行の労働法に準拠しているか。
  • 明確性:規則が簡潔で理解しやすいか。
  • 公平性:すべての従業員に対して公平であるか。
  • 適用範囲:どの従業員に適用されるかが明確か。
  • 柔軟性:変化する労働環境や法規に対応できるか。
  • 労働者代表の意見:労働者代表からの意見が適切に反映されているか。
  • 労働基準監督署の届出:届出が正しく行われて受理されているか
  • 周知読予備確認:周知漏れや更新漏れはないか?

就業規則に関する具体的な判例

秋北バス事件(S43.12.25最大判)

主任以上の職にある者に新たに55歳停年制(一般従業員は50歳)を設ける就業規則の変更によって解雇された従業員Xが、本人の同意のない就業規則の変更には拘束されないから、その解雇は無効であるとして雇用関係の存在確認を求めました。

最高裁は、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者が同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと判断し、申立てを棄却しました。

(参照:「確かめよう労働条件 裁判例」厚生労働省)

ポイント:就業規則の変更において、労働者全員の合意をとる必要はない。

フジ興産事件(H15.10.10最二小判)

得意先の担当者らの要望に十分応じず、トラブルを発生させたり、上司の指示に対して反抗的態度をとり、上司に対して暴言を吐くなどして職場の秩序を乱したりしたなどとして、直前に修正施行された新就業規則の懲戒条項に基づき懲戒解雇された従業員Xが、就業規則が所定の手続きを経て労基署に届け出られたのは、本件解雇の直前であり、また、新旧両方の就業規則はXの事業場には設置されておらず、内容を知ることもできず、周知もされていない状況だったため、周知されていない就業規則に基づく解雇は違法であるとして、その決定に関与したY社の取締役Y1ら3名に損害賠償を請求しました。

第一審では、懲戒解雇に関する事項は新旧療法の就業規則に記載があり、新就業規則は旧就業規則の内容をより詳細なものにしているだけであるため、従業員Xの主張は受け入れられないとした。

しかし、最高裁にて、懲戒処分には就業規則上の根拠と適用される労働者に周知されていることが必要であるとし、この点を認定しないままの大阪高裁の判断は違法であるとして、破棄差戻しました。

(参照:「参考となる主な裁判例」厚生労働省)

ポイント:
法的に認められた就業規則でも社内での周知ができていないとその効力は無効になる可能性がある。

効果的な就業規則の具体例

就業規則は、企業の「ルールブック」として機能し、従業員と雇用者の双方に明確な指針を提供します。効果的な就業規則は、法律遵守だけでなく、働きやすい職場環境の構築にも寄与します。以下に、具体的な要素を挙げ、それぞれの項目について詳述します。

1. 遵守すべき法律基準の明記

  • 労働基準法: 労働時間、休憩、休日、残業、最低賃金などに関する基本的なルール。
  • 労働契約法: 雇用契約の条件、変更時の手続きなど。
  • 均等法・ハラスメント防止法: 性別、年齢、国籍等による差別禁止、パワハラ、セクハラなどの防止策。

2. 明確な勤務条件の設定

  • 勤務時間: 始業・終業時刻、休憩時間、フレックスタイム制度の導入等。
  • 残業規定: 残業の申請方法、残業代の計算方法。
  • 休日・休暇: 週休日数、年次有給休暇、特別休暇(慶弔休暇等)の規定。

3. 給与体系と賞与

  • 給与計算の基準: 基本給、時間外手当、休日手当等。
  • 賞与の支給基準: 賞与の支給回数と計算方法、業績に応じた変動の有無。

4. 福利厚生と社員サポート

  • 健康保険・厚生年金: 加入条件と手続き。
  • 福利厚生の種類: 退職金制度、社員旅行、健康診断、カウンセリングサービス等。

5. 労務管理

  • 人事評価システム: 評価の頻度と基準、昇進・昇格の条件。
  • 勤怠管理: 出勤・退勤の記録方法、遅刻・早退・欠勤の扱い。
  • 従業員の教育・研修: 新入社員研修、キャリアアップ研修、必要な資格取得支援。

6. 職場のルールと文化

  • コミュニケーションポリシー: 内部コミュニケーションのガイドライン、情報共有の方法。
  • ハラスメント防止策: ハラスメントの定義、相談窓口、対処プロセス。
  • 多様性と包摂: 多様性を尊重する文化の推進、インクルージョンに関する試み。

7. 安全と健康

  • 職場の安全基準:安全衛生管理体制、緊急時の対応プロトコル。
  • 健康管理:ストレスチェック、メンタルヘルス対策、職場環境の改善。

8. 規則の運用と改定

  • 規則の周知と遵守:従業員への周知方法、遵守を促す仕組み。
  • 定期的な見直し:法改正への対応、職場環境の変化に応じた更新。

9. 紛争解決の手段

  • 内部相談窓口:労働関連の問題に対する相談体制。
  • 紛争解決プロセス:不満や問題の申し立て方法、中立的な調査プロセス。

10. 退職に関する規定

  • 退職の手続き:退職願の提出方法、退職時の手続き。
  • 退職後の取り扱い:退職金の支払い、再雇用のポリシー。

まとめ

効果的な就業規則は、法的要件を満たすだけでなく、従業員のモチベーションと職場環境の向上に寄与します。これには、透明性のあるコミュニケーション、公平な労働条件、健康と安全への配慮、そして職場の多様性と包摂が含まれます。定期的な見直しとアップデートにより、就業規則は時代と共に進化し、企業の成長と従業員の満足度向上のための重要なツールとなります。


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