お役立ちコラム

リスクを減らすために理解しておきたい 労働契約終了の種類と守るべきルール

労働契約の終了には、従業員が退職を申し出る以外にも、解雇や定年退職、契約期間の満了など、いくつかの理由があります。会社を辞める理由は人それぞれですが、その種類ごとにルールが定められており、適用される法律も異なります。労使間のトラブルを防ぎ、円満な労働契約終了を迎えるためにも、ルールを把握しておきましょう。

さまざまな退職の形と退職させるときのルール

従業員が会社を辞める退職には、定年、死亡、雇止め、辞職、合意解約など様々な種類があります。ここでは、従業員が一方的に労働契約の解約を意思表示する『辞職』と、会社側の承諾を待って労働契約を解約する『合意解約』の2種類について整理します。

辞職の場合は、従業員が意思表示をしてから、原則として2週間後に労働契約が解約されます。このとき、使用者の承諾は必要なく、使用者に辞める意思が伝わった時点で、従業員は辞職を撤回できません。対して合意解約は、使用者が従業員の退職を承諾してはじめて解約が成立します。また、使用者が承諾するまで、退職を申し出た側は撤回することも可能です。

従業員が辞職を申し出るときは『退職届』、合意解約を申し出るときは『退職願』を提出するのが一般的ですが、近年は区別が曖昧になっており、従業員側も認識していないことが多いです。

辞職も合意解約も、期間の定めのない労働契約であれば、従業員はいつでも申し出ることができますが、期間の定めのある有期労働契約の場合は、原則的に契約期間の途中では労働者は退職することができません。ただし、やむを得ない事情がある場合には退職することが可能であり、このやむを得ない事由については、個別のケースごとに判断されます。

また、使用者側も有期労働契約の期間中は労働者を解雇できません。期間の満了によって自動的に労働契約は解約されることになりますが、3回以上契約を更新している従業員や、1年以上勤務している従業員には、少なくとも30日前までに契約終了を予告する必要があります。

雇止めが認められるのは合理的な理由がある場合のみ

さらに、何度も契約を更新しているなど、有期労働契約であっても実質的に無期雇用契約と変わらない場合は、『期間満了による契約の終了(雇止め)』が認められず、同一の条件で引き続き有期労働契約を更新しなくてはいけません。雇止めが認められるのは、合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限ります。

また、従業員に合意なく、事業者の一方的な意思表示によって労働契約を解除する『解雇』も、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は解雇できません。勤務態度に問題があったり、業務命令に従わなかったりするなど、従業員に落ち度がある場合も同様です。すぐに解雇が認められるというものではなく、その内容や会社側が受けた被害の大きさ、故意であったかどうかなど、さまざまな事業が考慮されます。

そして、合理的な理由がある場合でも、30日前に従業員に解雇の予告を行なう必要があります。

一方で、従業員に落ち度がなくても、業績不振などで人員を削減するために行うのが『整理解雇』です。整理解雇は、人員削減の必要性や合理性、解雇回避の努力、手続きの妥当性などを踏まえて、有効かどうかが判断されます。

このほかに、従業員が一定の年齢に達したことによる定年退職など、就業規則に定められた事由による退職があります。退職にはさまざまな種類があることを理解し、従業員の生活や立場も考慮しながら、ルールに準じて手続きを進めましょう。

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