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就業規則を作成しないと労使トラブルが起きた時に困る!よくある労使トラブルと回避方法を紹介

「うちは小さな会社だから就業規則なんて必要ない」
——その油断が、労使トラブルを招く最大の原因です。
突然の残業代請求、パワハラの訴え、不当解雇の主張……。
そのとき、ルールがなければ会社は一気に不利に。
この記事では、実際によくある労使トラブルの事例と、それを未然に防ぐための「就業規則の力」をご紹介します。備えあれば憂いなし、労使トラブルはルールで防げます。
目次

労使トラブルとは、会社と従業員の間で起こる労働条件などの対立や問題を指します。
たとえば「残業代が支払われない」といった未払い問題は典型的な例です。
なぜ労使トラブルが起こるのか?
・契約やルールがあいまい
・就業規則が整備・周知されていない
・上司の対応に納得できない
こうした場合に誤解・不信感が生まれ、トラブルに発展します。
労使トラブルが影響する範囲は?
・従業員側:ストレス、離職、収入減
・企業側:訴訟・炎上、信頼低下、採用難
労使トラブルは現代の課題です。
かつては「空気で察する」職場が多かったですが、今は権利意識の高まりや働き方の多様化により、明文化されたルールが求められる時代です。
就業規則の整備こそ、最大の労使トラブル予防策です。

労使トラブルの多くは「ルールがない」から起きる企業と従業員の間で起こる「労使トラブル」です。
原因の多くは、就業規則がない・曖昧・周知されていないことです。
労使トラブルとは?
たとえば下記のようなものです。
・解雇・退職の揉め事
・残業代の未払い
・ハラスメント
・副業の禁止や制限
・育休復帰のタイミング など
なぜ労使トラブルの話で就業規則が話題に?
就業規則は企業のルールブックです。
たとえ合理的な処分でも、就業規則に明記されていなければ無効になる可能性があります。
雇用の多様化でルール整備が必須に
労働者として正社員だけでなく、パート・アルバイト・副業従事者も増加している昨今、待遇の違いからトラブルが生じやすくなっています。
→ 就業規則があれば、対応に一貫性を持たせ、誤解や不公平感を防げます。
裁判でも就業規則がカギに
労使トラブルが裁判に発展すると、
・就業規則の有無
・内容の合理性
・従業員への周知状況
が、会社の主張の信頼性を左右します。
就業規則がなければ、労使トラブルを予防することも、対応することも難しくなります。

就業規則と労使協定は、企業の労務管理に不可欠な社内ルールですが、それぞれ性質や効力に違いがあります。
就業規則と労使協定の違い
就業規則は企業が一方的に定める労働条件の基本ルールで、労働時間・賃金・休暇・退職などを記載しており、従業員10人以上で作成義務があります。
労使協定は企業と労働者代表が合意の上で締結するもので、36協定のように法律の例外を許す「特例的ルール」として機能します。
法律との関係と優先順位
就業規則も労使協定も、上位法に反する内容では効力を持ちません。
優先されるのは以下の順序です。
1. 憲法
2. 法律(労働基準法など)
3. 条例・条約
4. 労使協定
5. 就業規則
たとえ労使合意があっても、労働基準法より不利な内容は無効です。
労使トラブル時に重視されるのは?
トラブルが裁判などに発展した場合、重視されるのは法令とその適用です。
就業規則や労使協定が古かったり、従業員に周知されていなかったりすれば、会社が不利になる可能性が高くなります。
就業規則も労使協定も、法令の枠内で適切に整備・運用されてこそ、その力を発揮します。
ルールの『中身』と『伝わり方』の両面が重要です。

就業規則が整備されていないと、企業と従業員の間で認識のズレが起きやすく、それが労使トラブルの火種になります。
退職時の労使トラブルを例にあげて詳しく見ていきましょう。
■ 退職時の労使 トラブルの例
・退職時の対応が曖昧
→ 退職希望日や引き継ぎ方法で揉める
・副業の可否が不明
→ 従業員が副業していたことで懲戒処分、しかしルールがなく無効になるケースも
・遅刻・欠勤の扱いが不明確
→ 勤怠のルールを巡って不公平感が生まれる
■ 従業員にとってのリスク
・自分の権利が守られていないと感じる
・処分や評価の理由が曖昧で、不安・不信が募る
・結果としてモチベーションの低下や離職につながる
■ 企業にとってのリスク
・解雇や懲戒の正当性を証明できず、裁判で不利になる可能性
・就業規則が未整備だと、助成金の申請ができない場合が多く、経営上の損失に
ルールがなければ、トラブル解決も困難になります。
就業規則は、企業と従業員の共通のルールブックです。
これがなければ、トラブルが起きた際にも判断の拠り所がなく、感情的な対立に発展しやすくなります。

「就業規則を整備すれば、労使トラブルを100%防げるのか?」
この問いに対する答えはNOですが、それでも会社を守る「盾」になるのは間違いありません。
■ ルールがあれば、ブレないで対応できる
たとえば、以下のような場面で効果を発揮します。
・懲戒処分の基準が明文化されていれば、処分の妥当性を示せる
・残業代の支払いルールが定められていれば、請求トラブルを防ぎやすい
・有給休暇の取得についての運用方針を周知していれば、対応に一貫性が出る
就業規則による明確なルールがあることで、従業員との認識のズレを防ぎやすくなり、 労使トラブルの予防策として非常に有効です。
■ 裁判でも有利に働く「証拠」になる
万が一、労使トラブルが裁判や労働審判に発展した場合でも、
・合理的な内容であること
・従業員に周知されていること
この2点を満たした就業規則があれば、会社の主張に法的な正当性が生まれます。
■ 就業規則は「経営の安全装置」
・トラブルの発生を未然に減らす
・万一発生しても、有利に進められる
就業規則は、企業にとって欠かせないリスク管理ツールです。

1. 残業代・賃金に関する労使トラブル
労働基準法で定める時間外労働・割増賃金の支払いなどが守られないケースです。
企業と従業員の間で「勤務実態」と「支払い要件」のズレがトラブルに発展します。
たとえば、使用時間と賃金が明確にされておらず、未払い請求や是正勧告が行われることがあります。
2. 解雇・懲戒に関する労使トラブル
就業規則・労働契約に明記されていない懲戒や解雇を巡って、従業員側が「合理的理由がない」と主張するケースです。
裁判や労働審判では、就業規則の有無・条文内容・説明・周知が重要な判断材料になります。
3. ハラスメント・休職・復職に関する労使トラブル
パワハラ・セクハラ、メンタル不調による休職後の扱い、復職時の条件などがあいまいなために発生します。
こうした労使トラブルでは、従業員の心理的ダメージだけでなく、企業イメージや採用にも大きな影響が及びます。
統計データから見る「労使トラブルが発生しやすい状況」
・厚生労働省の「労使コミュニケーション調査」では、労使間の意思疎通・苦情処理機関の整備などがテーマとしてあげられています。
・同省の「労使間の交渉等に関する実態調査」では、正社員以外の労働者の待遇・交渉状況が調査されており、非正規雇用を巡るトラブルの比率が高いことも示唆されています。
これらのデータは、労使トラブルが起きやすい 構造的な背景を示しています。
言い換えれば、「ルールが曖昧/周知が不十分」「複数の雇用形態が混在」「個別対応で対応されてきた」という職場では、特に労使トラブルが起きやすいということです。
就業規則が整備されていない・実状とズレがあるという企業では、ぜひ見直しを検討することをおすすめします。

引用元:厚生労働省「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」
“総合労働相談件数は高止まり。助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数は前年度より増加。総合労働相談件数は121万412件で、4年連続で120万件を超え、高止まり。”
このように、総合労働相談は年間120万件を超えて、個別労働関係紛争の相談も26万件を超えています。
労使トラブルが起こってしまってから対抗するルールを定めても遅いのです。
明日は我が身と考えて早めに対策しておくことが大切です。

就業規則がある場合の対応方法
就業規則が整備されていれば、以下のようにスムーズな対応が可能です。
・就業規則を根拠に事実関係を確認
→ トラブルの原因が「ルール違反」か「制度のあいまいさ」なのかを整理できます。
・当該ルールをもとに適切な処分・対応を実施
→ 懲戒処分や警告、再発防止策を明文化された手順で進められます。
・裁判・労働審判でも有利に進めやすい
→ 「合理的なルールがあったか」が判断基準になるため、防御力が高まります。
就業規則がない場合の対応方法
就業規則が未整備の場合、対応は難航しがちです。
・ルールの不在で対応基準が曖昧
→ トラブルの判断が個人の主観に依存しやすく、感情的対立になりやすい傾向にあります。
・解雇や懲戒の根拠が不十分
→ 不当解雇とされるリスクが高く、法的リスクも大きくなります。
・トラブルが長期化・泥沼化しやすい
→ 話し合いがまとまらず、労働局・労働審判・裁判へと発展するケースもあります。
就業規則がないままでは、トラブルの『火種』を放置しているのと同じです。
解雇・残業代・ハラスメント・副業──現代の労使トラブルは複雑化し、一度もめれば金銭・時間・信頼すべてに大きな損失が生じます。
ACCS社会保険労務士法人では、豊富な実績をもとに、御社の現場に即したトラブル回避型の就業規則を提案・作成します。
トラブルが起こる前に、今すぐご相談を!
将来の安心は、「ルールづくり」から始まります。

就業規則を作成しないと助成金がもらえない?

「助成金を申請したい。でも、就業規則が古いまま……」
「そもそも作っていない……」
——そんな不安を抱える中小企業の方は少なくありません。
実は、雇用関係助成金や働き方改革推進支援助成金など、多くの助成金の申請において、「就業規則の整備・明記」が申請条件に含まれていることがあるのです。
つまり、ルールがなければ、お金ももらえない可能性があるということです。
せっかくの支援制度を「書類不備」で逃す前に、まずは就業規則の見直し・作成から始めましょう。
今こそ「制度の整備=経営の武器」です。
目次

中小企業にとって貴重な助成金制度。
しかしその多くは「就業規則の整備」が支給条件です。
就業規則を作成していなければ、そもそもスタートラインに立てないこともありえます。
また、作成済みでも制度に対応していない内容や古い規定ではNGです。
『形だけ』の就業規則では通用せず、助成金の要件を満たす内容であることが重要です。
「まだ作っていない」「昔のまま」という場合は、今すぐ見直ししましょう。
チャンスを逃さないための第一歩です。

助成金は、厚生労働省が所管し、主に「雇用関係助成金」としてハローワークや労働局などを通じて支給されます。
これらの助成金を受給する際、就業規則の整備は「必須条件」となるケースが非常に多いのが現状です。
なぜ就業規則が関係するのかというと、助成金は新たな雇用制度や職場環境の整備に対して支給される制度だからです。
つまり、「実施している」だけではなく、社内規程(=就業規則)に明記していることが、その実施の『証明』として求められるのです。
たとえば以下のような助成金では、特定の制度が就業規則に明文化されていることが支給の前提になります。
| 助成金名 | 求められる就業規則の内容 |
|---|---|
| キャリアアップ助成金 | 契約社員やパートタイマーを正社員に転換する制度の明記 |
| 両立支援等助成金 | 育児休業・介護休業・時短勤務制度などの規定整備 |
| 人材確保等支援助成金 | 福利厚生・働き方改革制度などの導入と明文化 |
| 働き方改革推進支援助成金 | 時間外労働の上限設定・年次有給休暇取得促進の制度化 |
たとえば「正社員転換制度」を導入する場合、対象者・転換要件・実施時期などを就業規則に明記しているかどうかが審査の分かれ目になります。

多くの助成金では、制度の導入内容を就業規則に明記していることが条件となっており、未整備だと「制度が証明できない」とされるからです。
例:
・キャリアアップ助成金 → 正社員転換制度の明記が必要
・両立支援等助成金 → 育児・介護制度の明文化が必要
つまり、助成金を活用するなら就業規則の整備は必須です。
小規模企業でも、早めの作成が損を防ぐ第一歩となります。

就業規則が「ある」だけでは、助成金の申請は通りません。
助成金の制度ごとに必要な内容を盛り込んだ『実効性のある就業規則』であることが必須条件です。
たとえば、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の場合、以下のような内容が就業規則に明記されている必要があります。
就業規則に必要な内容(例:正社員化コース)
・有期雇用から正社員への転換制度を定めていること
(転換の対象者・タイミング・手続きが明確になっている)
・正社員と非正規社員の待遇差が分かる労働条件の明示
(賃金・賞与・手当・労働時間など)
・制度の周知と実施実績
(実際に制度を適用した記録や通知書類などが必要)
上記のような具体的かつ制度運用が確認できる内容が欠けている場合、申請しても不支給となる可能性が高くなります。
「とりあえず作った就業規則」では対応しきれません。
助成金の要件に対応した設計と文言が必要です。
制度に合った就業規則の作成は、労務の専門家への相談をおすすめします。

「うちは就業規則をちゃんと作ってあるから大丈夫」――本当にそうでしょうか?
助成金の申請には、制度の『実施』だけでなく「規定の整備」も審査対象となります。
しかし、内容が古いまま放置されている就業規則では、申請が通らないケースが増えています。
✅ 助成金申請前に見直しておくべき主なポイント
・雇用形態転換制度の規定
例:有期雇用から正社員への転換ルール(キャリアアップ助成金)
・育児・介護休業に関する規定
例:育児休業の取得要件や対象範囲(両立支援等助成金)
・時間外労働・年次有給休暇の管理方法
例:残業時間の上限・有休5日取得義務への対応(働き方改革推進支援助成金)
・テレワークや副業に関する取り扱い
時代に合わせた柔軟な働き方への対応が求められるケースが増加中
助成金の制度は毎年のように更新されており、それに就業規則も対応している必要があります。
すでに就業規則がある企業こそ、定期的な見直しとアップデートが不可欠です。見直しの際は、助成金制度に精通した社会保険労務士への相談が最も確実です。

助成金を受給するためには、就業規則に「制度の内容」がしっかり記載されていることが条件になるケースが多くあります。たとえば、正社員転換制度や育児休業制度の整備は、その代表例です。
でも実は、それだけではありません。
助成金対応の就業規則にはこんなメリットもあります。
・労使トラブルを未然に防げる(ルールが明確になる)
・従業員の安心感アップ(待遇や制度の可視化)
・社内制度の見直し・整理ができる(働きやすい職場づくりに)
・採用面でも好印象(法令順守の姿勢が伝わる)
「助成金をもらうため」だけでなく、会社の基盤を整えるチャンスとして、就業規則の見直しや作成を検討してみましょう。
助成金に対応した就業規則とは、助成金の支給要件を満たす制度内容が明確に盛り込まれている就業規則のことを指します。
✅ たとえば、こんな就業規則が「対応済み」
・【キャリアアップ助成金】
→「正社員転換制度」が明記されている
・【両立支援等助成金】
→「育児・介護休業制度」が具体的に記載されている
・【働き方改革推進支援助成金】
→「テレワーク勤務制度」「副業可否のルール」が定められている
❌ 一方で、こんな就業規則は「非対応」
・古くて法改正に対応していない(例:改正育児介護休業法未反映)
・制度の記載があいまいで、運用ルールが明文化されていない
・実態と乖離していて、助成金申請時に証拠として使えない
助成金を申請したい企業は、単に「就業規則がある」だけでなく、助成金要件にマッチした内容かを確認・見直すことが重要です。

助成金を受給するためには、「対応した就業規則」の作成が欠かせません。
以下の流れで進めるとスムーズです。
✅ 就業規則作成の流れ
1. 活用できる助成金を探す
→ 厚生労働省のHPや社会保険労務士事務所の情報が参考になります。
2. 助成金の申請条件を確認する
→ 対象者の要件や、就業規則への明記が求められる内容をチェック。
3. 就業規則の設計・見直し
→ 条文に制度の導入内容や運用ルールを具体的に記載。
4. 専門家に相談する(推奨)
→ 書類の整合性や要件の満たし方に不安があれば、社会保険労務士に相談を。
5. 労働基準監督署へ届け出る
📝 おすすめの依頼先は「経験豊富な社会保険労務士事務所」
理由はシンプルです。
・助成金の要件や最新情報を熟知している
・審査傾向や落とし穴も把握している
・就業規則の設計・作成・届け出までワンストップ対応できる
はじめて助成金を活用する場合は、無理に自社だけで進めず、実績のある社会保険労務士に相談することが成功の近道です。

〜費用・工数・メリットで比較〜
就業規則がすでにある企業の場合、「作り直し」よりも一部改定のほうが一般的にはおすすめです。
✅ 改定のメリット
・必要な部分だけを見直せばOK
・費用や時間を大幅に削減できる
・実態や法改正に合わせて柔軟に対応できる
❌ 作り直しが必要なケース
・内容が古すぎて現行制度に対応していない
・条文が曖昧・体系がバラバラで修正よりも再構築が早い
・助成金申請などで正確かつ最新の制度明記が求められる
結論:
就業規則がベースとして機能しているなら「改定」で十分です。
ただし、内容次第では一から作り直したほうが効率的な場合もあります。
判断に迷うときは、社会保険労務士などの専門家に相談するのが安心です。
多くの助成金は「就業規則に制度が明記されていること」が申請条件。
つまり、就業規則がない=受給資格がないも同然です。
さらに、古いまま放置された就業規則では申請が通らないケースも少なくありません。
📣 今すぐ、就業規則をチェック!
「まだ就業規則を作っていない」
「助成金に対応しているか分からない」
そんな方は、実績豊富な社会保険労務士に相談するのが最短ルートです。
就業規則を整備して、助成金を『確実に』受け取りましょう!

就業規則を作成するメリット・デメリットを解説

「トラブルが起きてからでは遅い。」
就業規則は、会社と従業員を守る『見えない盾』です。
知らなかった・決まってなかった──それだけで裁判や損害に発展する今、就業規則の整備は「任意」ではなく「必須の備え」と言えるでしょう。
この記事では、そのメリットとデメリットをわかりやすく解説します。
目次

就業規則は、法律で義務づけられているから仕方なく作るもの——
そう思っている方も多いかもしれません。
しかし、就業規則を作成・整備することは、会社経営にとって非常に大きなメリットがあります。
たとえば、労使トラブルの予防、助成金の申請、人件費の抑制、従業員の安心感の向上など、経営リスクの回避から生産性の向上まで、幅広い効果が期待できます。
特に、労務リスクの高まる現代においては、「きちんと就業規則が整っているかどうか」が、企業の信頼性を左右する要素にもなっています。
このページでは、就業規則を作成することのメリット、あるいは、作成しないことのデメリットについて、実務に即してわかりやすく解説していきます。

就業規則には多くのメリットがありますが、作成や運用に一定の負担があるのも事実です。
ここでは主なデメリットを簡潔にご紹介します。
1. 作成に費用がかかる
社会保険労務士に依頼すると10~30万円前後の費用がかかることもあります。
自作する場合でも法的整合性の確認が必要です。
2. 工数・時間がかかる
労働条件の整理や条文設計など、現状把握から完成まで多くの工程が発生します。
複数部署が関与する場合はさらに複雑になります。
3. 従業員への「周知」が必要
作成後は、掲示や配布などでの周知が義務となっています(労働基準法第106条)。
「作って終わり」ではなく、従業員が内容を理解できる状態にする必要があります。
4. 定期的な見直しが必要
法律改正や制度変更に対応するため、継続的なメンテナンスが不可欠です。
対応しないと、内容が実態とずれてしまうおそれがあります。
5. 従業員の合意に時間がかかることも
ルールが不利益変更と受け取られると反発が起こる場合もありえます。
副業制限や懲戒規定などは特に慎重な説明が必要です。
手間や費用はかかりますが、トラブル予防・リスク管理・信頼性向上などのメリットはそれ以上です。
就業規則は「会社を守る盾」として、経営における重要な投資といえます。

就業規則は企業運営に重要な役割を果たしますが、従業員が常時10人未満の事業場には作成義務がありません。
そのため、「作成しない」ことによる以下のようなメリットもあります。
1. 費用がかからない
専門家に依頼したり、法的チェックを行なったりするコストが不要です。
労使関係が安定している小規模企業では、「必要ない」と判断することもあります。
2. 更新・メンテナンスが不要
法改正や制度変更のたびに就業規則を見直す必要がないため、継続的な対応や工数を省けます。
3. 柔軟な運用ができる
就業規則がなければ、社内ルールが固定されず、状況に応じて個別対応しやすいという考え方もあります。
一方で、社内ルールが不明確だとトラブル時に大きなリスクを招く可能性があります。
就業規則は『不要なコスト』ではなく、『リスクを未然に防ぐ備え』として考えることが重要です。

就業規則は常時10人以上の労働者がいる事業場では法的義務がありますが、それ未満の企業でも作成しないことで重大なリスクを抱えることになります。
1. 罰則リスク
義務があるのに作成・届出を怠ると、30万円以下の罰金や企業名の公表につながる場合があります(労働基準法第120条など)。
2. 助成金が申請できない
多くの助成金は就業規則への制度明記が支給条件となっています。
未整備では申請そのものができません。
3. 従業員とのトラブル発生
ルールが不明確だと「不公平」「言った言わない」が起こりやすく、モチベーション低下や離職の要因になります。
4. 残業管理ができない
就業規則がなければ時間外労働のルールが曖昧になり、未払い残業代・是正指導・訴訟リスクが高まります。
5. 労使紛争で企業が不利に
懲戒や解雇を就業規則に基づかず行うと、裁判で無効と判断される可能性が高まります。
6. 統一ルールがなく信頼を失う
部署ごとに対応がバラつき、従業員の不満やSNS炎上、内部告発の原因になりかねません。
小規模企業こそ整備を
「まだ小さい会社だから」と放置せず、トラブル予防と信頼維持のためにも、就業規則は早めに整備すべきです。
会社を守る『経営の防波堤』として活用しましょう。

「まだ小規模だから不要では?」と考える方も多いですが、就業規則はすべての企業にとって有益です。
労働時間・賃金・休暇・退職・ハラスメント・副業など、トラブルの火種となりやすい項目について、明確なルールを定めておくことで労使トラブルの予防や公正な対応が可能になります。
特に、以下のような企業には就業規則の作成を強くおすすめします。
・制度やルールが曖昧な企業
⇒「残業代の起算点は?」「有休の取得条件は?」など、日常的な疑問を解消できます。
・ハラスメント・副業・SNSなど新しい課題に備えたい企業
⇒ 曖昧なままだと従業員トラブルに発展するリスクがあります。
・これから事業拡大や営業所の新設を予定している企業
⇒ スタッフや拠点が増える前に、共通ルールを整備することが重要です。
・助成金を活用したい企業
⇒ 多くの助成金で「就業規則に制度が明記されていること」が申請条件になっています。
たとえ義務のない規模でも、リスク予防・信頼構築・制度活用の観点から、就業規則は「経営の安全装置」として機能します。
今こそ、将来を見据えて整備しておくことが賢明です。

就業規則の作成義務は、常時10人以上の労働者を使用している事業場に課せられています(労働基準法第89条)。
この「10人」には、正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員・派遣社員など雇用形態を問わずカウントされる点に注意が必要です。
就業規則は作成するだけでなく、所轄の労働基準監督署への届出が義務付けられています(労働基準法第89条・第90条)。
対象となるのは、常時10人以上の労働者を使用する事業場です。
「作るだけでいい」と思っていた方は、ぜひこの機会に届出の手続きまで確認しておきましょう。
届出がなされていない就業規則であっても、一定の条件を満たせば効力が認められるケースがあります。
その代表例が、フジ興産事件(最判 平成15年10月10日・最高裁第二小法廷)です。
この事件では、労働基準監督署への届出がされていなかった就業規則について、「労働者に周知され、その内容が合理的であれば、就業規則としての効力を持つ」と判断されました。
つまり、届出がなかったとしても、
・労働者に周知されていること
・内容が合理的であること(社会通念上妥当)
この2点がそろっていれば、就業規則の法的効力が認められる可能性があるということです。
ただし、これはあくまで例外的な扱いです。
トラブル時に企業側が不利になるリスクを避けるためにも、就業規則は必ず正しく届出しておくことが最善です。

就業規則は、「作ったほうがいいかどうか」を検討するものではありません。
就業規則は労使トラブルを回避できる「保険」のような存在です。
一度でもトラブルが起これば、作成費用をはるかに上回るコストと時間を失う可能性があります。
メリット・デメリットを比較する以前に、作るのが当然。迷っている時間があれば、まずは一歩踏み出すことが、経営者としてのリスク管理の第一歩です。
就業規則を作成することで、労使トラブルの予防や助成金申請、従業員の安心感向上など、多くのメリットが得られます。一方で、作成や更新には費用や手間がかかることもありますが、トラブル発生時の損失を考えれば、十分に元が取れる「経営の保険」です。
義務のある企業はもちろん、それ以外の企業にとっても、就業規則は備えておくべき必須のルールブックといえるでしょう。

就業規則の作成義務とは?作成・届出しないとどうなる?

目次
「うちの会社、就業規則って作らなきゃいけないの?」
従業員が増えてきたとき、あるいは人事トラブルや労務整備の必要性が高まったとき、こんな疑問を持つ方は少なくありません。
実は、一定の条件を満たす会社には、就業規則の「作成義務」や「届出義務」が法律で定められています。そしてこの義務を怠ると、行政指導や罰則、最悪の場合は企業名が公表されるリスクもあるのです。
本記事では、就業規則の作成義務とは何か、どんな会社に適用されるのか、作らなかったり届出をしなかったりした場合にどのような不利益があるのかを、法律の根拠と実例を交えて分かりやすく解説します。
「作るべきかどうか」だけでなく、「いつまでに、どうすべきか」も理解できる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

まずは、「なぜ作成義務があるのか」「誰が・いつ・どの法律で決めたのか」、そして「就業規則制定の目的」といった根幹部分を押さえましょう。
以下が、就業規則に関する主な法的根拠です。
労働基準法 第89条(就業規則の作成および届出義務)
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署に届出なければならない
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 労働条件の明確化 | 賃金、労働時間、休暇などを明記し、認識ズレを防止 |
| 労使トラブルの未然防止 | 解雇や懲戒、残業などで争いを回避 |
| 職場秩序の維持 | 服務規律や安全衛生の基準を提示 |
| 法令遵守の徹底 | 労働法令と整合する制度構築 |
| 従業員の安心感 | ルールが明示されることで安心して働ける |
| 経営安定・採用への影響 | 信頼ある企業イメージ形成につながる |
就業規則の作成義務は、「常時10人以上の労働者」を使用する事業場に課されます(労働基準法第89条)。
ここでの「10人」は、正社員だけでなく、雇用契約が継続している労働者すべてを指します。
| 雇用形態 | カウント対象 | 補足 |
|---|---|---|
| 正社員 | ○ | 常時雇用されていれば全員対象 |
| パート・アルバイト | ○ | 労働時間や日数に関係なく、雇用契約があれば対象 |
| 契約社員(有期雇用) | ○ | 雇用契約期間中は対象 |
| 育児休業・産休中の社員 | ○ | 雇用契約が継続していればカウント |
| 長期病気休職中の社員 | ○ | 解雇等されていなければ対象 |
| 役員 | △ | 役員はNG、使用人兼務役員はカウント |
| 派遣社員(受入側企業) | × | 派遣元でカウントされるため対象外 |
| 登録だけされている超短期勤務者 | △ | 実態として雇用継続がなければ対象外になることも |
| 定年退職予定者・死亡した社員 | × | 在籍していなければ対象外 |
| グループ会社で兼務している社員 | △ | 就業場所ごとの事業場単位でカウントされる |
就業規則の作成義務は、常時10人以上の労働者を使用している場合に限られます。
そのため、従業員が常時9人以下の事業場には、法的な義務はありません(労働基準法第89条)。ただし、義務がない=不要というわけではありません。10人未満の会社であっても、トラブルを未然に防ぐために就業規則を作成するメリットは大きいです。
作成義務と届出義務に関する従業員数は、1事業所あたりの労働者をカウントします。仮に会社全体の労働者数が10人を超えていても、1事業所あたりの労働者が10人未満であれば、義務は発生しません。
A事業場は10人以上、B事業場は10人未満の場合の場合、B事業場については、作成義務や届出義務はありませんが、同一企業であれば、同一のルールで運用したほうが、会社全体として最適な運営が可能となります。本社にて一括して就業規則の作成を行い、届出を行うことも可能ですので、同じルールを作成したほうが良いでしょう。

就業規則は、作成するだけでは不十分です。労働基準法第89条により、「常時10人以上の労働者」がいる事業場では、所轄の労働基準監督署への届出も義務付けられています。
届出をしないまま運用を始めると、法的には「未届出」と見なされ、是正勧告や罰金の対象になることがあります。
就業規則の作成または変更から速やかに、以下の書類を添えて届出る必要があります。
・就業規則本体
・労働者過半数代表の意見書(労働基準法第90条)
届出書と意見書のWordファイルは、以下のページからダウンロード可能
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/dl/25.docx

就業規則を作成するには、労働基準法などの関連法令を踏まえながら、自社の実情に即した労働条件や社内ルールを文書化する必要があります。
作成手順(基本の流れ)
1.現状の労働条件・制度を整理
2.就業規則のひな形(厚労省など)を参考に文案を作成
3.法令違反がないかチェック
4.労働者代表の意見聴取(労基法第90条)
5.労働基準監督署に届出
| 内容 | 概算 |
|---|---|
| 作成期間 | 約2週間〜1か月(自作の場合) |
| 作成コスト | 自作=無料、社労士依頼=5〜20万円程度 |

届出には、以下の書類が必要です。これらを「2部」づつ準備しましょう。「1部」は提出用。もう「一部」は自社の控えで労働基準監督署の受領印をもらった上で保管しましょう。
・就業規則(賃金規程、育児介護規程等、作成したすべての規程)
・意見書(労働者の過半数代表者が署名または記名押印)
・届出書(就業規則(変更)届)
Q1.就業規則の作成義務は、従業員が何人から発生しますか?
A.労働基準法第89条により、常時10人以上の労働者を使用する事業場に就業規則の作成と届出が義務付けられています。正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員もカウント対象です。
Q2.パートやアルバイトも「常時10人」に含めて数えるのですか?
A.はい、含まれます。就業規則の作成義務における人数カウントは、雇用形態に関係ありません。
常時使用しているかどうかが基準となるため、パートや短時間労働者も要注意です。
Q3.事業場単位で従業員が10人を超えた場合のみ義務があるのですか?
A.その通りです。就業規則の作成義務は「会社単位」ではなく「事業場単位」で判断します。支店や営業所ごとに10人を超えたかどうかを確認してください。
Q4.育児休業中・休職中の社員もカウントすべきですか?
A.はい。雇用契約が継続している社員は「常時使用する労働者」としてカウントされます。たとえ一時的に出勤していなくても、人数に含めて就業規則の作成義務を判断します。
Q5.派遣社員は「常時使用する労働者」に含めますか?
A.派遣元の企業の労働者であるため、派遣先ではカウントしません。ただし、契約形態によって判断が難しい場合は、専門家への相談が確実です。
Q6.就業規則は作成するだけでいいのですか?届出義務もあると聞きました。
A.作成だけでなく、所轄の労働基準監督署へ届出る義務(労働基準法第89条)があります。併せて「労働者代表の意見書」を添付(労働基準法第90条)する必要があります。
Q7.就業規則の届出をしなかった場合、罰則はありますか?
A.はい。労働基準法第120条により、30万円以下の罰金が科される可能性があります。行政指導・是正勧告を受ける前に、速やかに届出しましょう。
Q8.就業規則の作成や届出は、自社でできますか?外部に依頼する必要は?
A.自社作成も可能ですが、法改正や判例に対応するには専門知識が必要です。特にトラブル防止やリスク回避のためには、社会保険労務士に就業規則の作成・届出を依頼するのが安心です。
Q9.就業規則の作成義務があるのに、まだ作っていません。今からでも間に合いますか?
A.はい。義務が生じている以上、早急に作成・提出を行うことが求められます。過去の不備を是正するためにも、早めに社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
Q10.就業規則を作成したら、労働者全員に説明・周知する必要がありますか?
A.はい。就業規則の効力を持たせるには、労働者への「周知」が法的に必須です。印刷して事業場に掲示する、イントラネットに掲載する、配布するなどの方法が必要です。
就業規則の作成義務や届出義務に不安がある方は、専門家に相談するのが最も確実な方法です。
・「誰をカウントすべきかが曖昧」
・「法改正に合っているか不安」
・「ひな形で作ったけど、これで本当にいいのか?」
・「忙しくて、手が回らない……」
このような悩みを抱える方は多く、制度としての就業規則は「書いて出せば終わり」ではありません。法律と現場運用の両方を理解して、初めて「意味のある就業規則」になります。
不安なまま放置するより、専門家に相談するという選択を
私たちACCS社会保険労務士法人では、法令に準拠した就業規則の作成・見直し・届出をトータルサポートしています。
会社ごとの事情に応じて、形式だけでなく実際に使える規則を提案することが可能です。
「これで大丈夫」と言い切れる安心感を得るためにも、まずはお気軽にご相談ください。

就業規則の作り方と目的 ~就業規則作成の注意点やポイントも解説!~

目次
就業規則は、労働者と雇用者の間の様々なルールや条件を明確に定め、働く上でのガイドラインとなります。本記事では、就業規則の作り方について詳しく解説いたします。基本的な作成方法及び企業にとっての重要性、そしてそのメリットについても詳しく解説していきます。
※注意※
この記事の内容は2024年2月現在の法律に基づいたものであり、あくまでも一解釈でしかありませんので、この記事自体が法的な証拠になったり効力を持ったりするものではございません。皆様の会社の状況や法律の解釈の違いによっては、この記事の内容が当てはまらないケースもあります。就業規則の作成や変更をされる場合、具体的な内容については必ず専門家に意見を聴くようにしてください。
まず、就業規則を作成する上での基本としては、法律に則った内容であることが重要です。具体的には、労働基準法や関連する法令を遵守し、労働者の最低限の権利を保障する内容を含める必要があります。これには、労働時間、休日、休暇、給与、退職に関する規定などが含まれます。

就業規則は企業と労働者の間のトラブルを防ぐためのものとして最も重要です。企業側としては、明確なルールがあることで、労働者との認識の違いや、言った言わないのような論争を避けることができます。
労働者のメリットとしては、国が定める労働基準に則った労働を行うことができます。また、会社のルールを理解しやすくなるため、仕事をスムーズに進めることが可能となるでしょう。
まず、適切な就業規則を設けることで、労働者の権利を保護し、職場環境を改善することができます。これにより、労働者のモチベーション向上にも繋がり、結果として生産性の向上も見込めるでしょう。
会社(又は1事業場)に常駐する従業員が10人以下の場合でも就業規則を作成して届け出ることで、労働者の権利を保護している企業であることの証明となるので、採用などの点においても有利になる可能性があります。
就業規則が法律に則って適切に整備されていることで、労働トラブルが発生した際の法的なリスクを低減できます。
賞与や昇給の規定罰則や減給の規定を会社のルールとして文章化しておくことも、労働者とのトラブルを防ぐために重要です。
労使トラブルの具体的な内容は、「就業規則に関する具体的な判例」をご確認ください。
就業規則は、全ての企業にとって重要なものですが、特に「常時10人以上の従業員を雇用する企業」には、特に重要な義務と条件が課せられています。この部分について詳細に解説していきます。
まず、就業規則が作成と労働基準監督署への届出が法律的に要求されるのは、常時10人以上の従業員を雇用する企業(又は事業場)です。これは労働基準法第89条によって定められており、この基準に該当する企業は就業規則の作成及び労働局への届け出が義務付けられています。

上の画像を例に説明します。
本社にて、正社員が60人、パート・アルバイト社員が20人、派遣社員が5人いたとします。
この場合はもちろん就業規則の届け出義務が発生します。
次に、支社Aを見てみましょう。
支社Aでは、正社員が4人、パート・アルバイトが6人、派遣社員が0人です。
この場合、正社員とパート・アルバイト含めて常時10人以上の社員が事業場(支社A)にて職務についていることになります。
パート社員やアルバイト社員も「常時10人以上の従業員を雇用」の対象となります。
したがって、支社Aも就業規則の届け出義務が発生します。
最後に、支社Bを見てみましょう。
支社Bでは、正社員が3名、パート・アルバイトが3名、派遣社員が5名とトータルでは11人が支社B(事業場)にて勤務していることになりますので、「常時10人以上」という部分には該当します。
しかしながら、派遣社員を「雇用」しているのは、派遣元の企業となりますので、支社Bで雇用されている人数は6人となります。
したがって、支社Bには、就業規則の届け出義務はないのです。
就業規則の適用範囲については、その企業に雇用されている全ての従業員が対象となります。これには、正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトの従業員も含まれます。ただし、就業規則には、異なる雇用形態に応じた適用条件や規定を設けることが可能です。仮に、パートタイムやアルバイトの従業員向けの就業規則を別で作成し正社員用の就業規則と分けて管理する場合、正社員向けの就業規則には、パートタイムやアルバイトの従業員には適応されないことを明記しましょう。

労働基準法では、常時10人以上の労働者がいる企業(および事業場:支社や支部単位の事業所のこと)対して、「就業規則の作成」し労働局へ届け出ることを義務化しています。「就業規則の変更」した場合も同様に労働局への届け出が義務化されています。これを怠った事業所には罰則として30万円以下の罰金が発生します。
労務局では、届けだされた就業規則が法令に適合しているかどうかの確認を行います。また、就業規則に変更があった場合にも、その都度、届け出を行う必要があります。
就業規則は作成して終わりではなく、労働局に届け出て、受理されてはじめて、企業は法的な責任を果たしたことになり、就業規則もその効力を持つことになります。
就業規則の条件ですが、最も基本的なのは、労働基準法及び関連する法令を遵守することです。具体的には、労働時間、休日、休暇、賃金、退職に関する規定を適切に設定し、これらの情報を従業員に明確に伝えることが必要です。
具体的には、下記の内容を記載しなければなりません。
1.始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
2.賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3.退職に関する事項(解雇の事由を含む)
1.退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
2.臨時の賃金等(ボーナス等)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
3.労働者に食費・作業用品その他の負担をさせる場合においては、これに関する事項
4.安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
5.職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
6.災害補償及び業務外の疾病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
7.表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
8.以上のほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
就業規則には、法律で定められた必須記載事項に加えて、企業が独自に設定する「任意記載事項」を含めることが可能です。これらは、その企業の特性や業務の性質、労働者の福利厚生を考慮したものであれば、より具体的で効果的な規則となります。
たとえば、以下のような事項を任意記載事項として追加することもできるでしょう。
これらの任意記載事項は、その内容が法令または労働協約に反しない範囲であれば、企業によって自由に設定することが可能です。ただし、これらの規定を設ける際には、労働者の意見を十分に考慮し、実務に適した形で取り入れることが重要です。
就業規則の作成に際しては、従業員の意見を聞くことも大切です。労働者の代表を決め意見を聞くことで、現場の声を反映させることができ、より現実に即した実効性の高い就業規則を作成することができます。
就業規則は定期的な見直しを行うことが望ましいです。社会環境や労働法の変更、企業の事業内容や規模の変化に対応するため、現状に合った規則に更新することが重要です。このプロセスを通じて、企業は常に健全な労働環境を提供し、労働者の権利を守ることができると同時に、企業は従業員とのトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
この場合の意見を聴く労働者の代表とは、企業の本店、支店等のそれぞれの事業場ごとにみて、
① 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合
又は、
② 労働組合がない場合や労働組合があってもその組合員の数が労働者の過半数を占めていない場合には、労働者の過半数を代表する者
を指します。
詳しくは、「労働者の代表の選定方法について」をご確認下さい。
労働法では、就業規則を作成又は変更する際に、労働者の代表の意見を聴き、その内容を意見書にまとめ就業規則と共に提出することをとを義務付けています。
就業規則の作成時、又は変更時に、労働者の代表の意見を聴く必要がありますが、この「意見を聴く」とは、文字通り意見を求める意味であり、同意を得るとか協議を行うことまで要求しているものではありません。また、事業主としては、労働基準法上はその意見に拘束されるものではありません。したがって、就業規則を労働基準監督署に届け出て受理された後、正しく周知していれば就業規則として成立するのです。
しかしながら、労働条件は労使対等の立場で決定するのが原則ですので、あくまでも一方的に決めようとするのではなく、労働者代表の意見については、できる限り尊重することが望ましいといえます。
また、労働契約を結ぶ労働者に対して後から就業規則を周知する場合、労働契約書と就業規則の条件に差分があり、就業規則の内容が労働契約書の内容が比べて、労働者にとって不利益となる場合、元々締結していた労働契約書の内容が優先されることになります。
(※厚生労働省資料より抜粋)
労働契約法第九、十条には次のように記載があります。
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
上記で記載のある第十二条の内容は下記の通りです。
第十二条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
つまり、変更の内容が、明確な理由もなく労働者にとって不利益となり、その理由が全く合理的ではない場合、労働者の代表の意見によっては、就業規則の変更の届出が受理されない場合もあると読むことができそうです。
上記について労働基準監督署の見解としては、変更時においても作成時と同様に労働者の合意は必要無いとのことです。
但し、あまりにも労働者にとって不利益になるような変更を加えなければならない場合は、お近くの専門家や事業場が属する動労基準監督署への確認を行う事をおすすめいたします。
就業規則をよく見せるために、実現できないような希望的なルールを盛り込んでしまうと、就業規則変更時にトラブルが発生する可能性もあるでしょう。
労使対等のバランスの取れた就業規則の作成を心掛けましょう。
労働契約法では、労働者の代表の選定方法についても明確にルールを設けています。下記に、いくつかのパターンに分けて解説いたします。適切な選定方法をまもって正しく運用しましょう。
これらのガイドラインは、労働基準法に基づくものであり、全ての労働者の権利と意見が適切に保護され、反映されることを目的としています。労働者代表の適切な選出と活動は、健全な労働環境の維持と、労働者と企業の間の良好な関係構築に不可欠です。
| Good! | 投票を行い、過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法 |
|---|---|
| Good! | 挙手を行い、過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法 |
| Good! | 候補者を決めておいて投票、挙手、回覧によって信任を求め、過半数の支持を得た者を選出する方法 |
| Good! | 各職場ごとに職場の代表者を選出し、これらの者の過半数の支持を得た者を選出する方法 |
| N G ! | 使用者が一方的に指名する方法 |
|---|---|
| N G ! | 親睦会の代表者を自動的に労働者代表とする方法 |
| N G ! | 一定の役職者を自動的に労働者代表とする方法 |
| N G ! | 一定の範囲の役職者の互選により労働者代表を選出する方法 |
(※厚生労働省資料より抜粋)
就業規則を作成する際にはいくつかの留意点があります。例えば、育児・介護休業(休暇)や、セクシュアルハラスメント防止のための措置や罰則。育児・介護休業法など、他の法令で導入が義務づけられた制度や措置の取扱いに関しては、就業規則にも規定しなければなりません。
あまりに厳格すぎる規則は労働者の創造性や自由度を縛り、モチベーションの低下を招く恐れがあります。そのため、実際の職場環境や労働者のニーズや現場の声を考慮しながら、柔軟性を持たせることも重要です。
また、一度作成した就業規則を変更する場合は正しい方法で届け出る必要があるため、それなりに時間が掛かります。就業規則は修正しても届け出を行っていない場合その効果は認められませんので、修正を行った場合は必ず、届け出る必要があります。

さらに、就業規則は一度作成したら終わりではありません。社会の変化、法令の改正、企業の成長や変化に合わせて、定期的に見直しを行う必要があります。これにより、常に時代に合った適切な規則を維持することができます。
就業規則の修正およびそれに伴う届出のための一連の作業は、とても手間が掛かりますが、会社を守り、従業員とのトラブルを防ぐためには、とても重要な作業です。必ず定期的な見直しと修正および届け出を行うようにしましょう。
下記就業規則を作成する上での必要事項の概要的なチェックシートです。ご自身で作成される場合は参考にしてください。
| ✔ | 項目 |
|---|---|
| ✔ | 就業規則の作成 or 修正 |
| ✔ | 労働者の代表の選定 |
| ✔ | 労働者の代表に意見を聴いく |
| ✔ | 意見書にまとめ、労働者の代表の署名又は押印をもらう |
| ✔ | 就業規則と意見書をまとめて労働基準監督署に提出(2部作成して送る) |
| ✔ | 就業規則が受理され、内1部が押印されて返却される |
| ✔ | 押印済みの就業規則一式を全社員が常にアクセス可能な形式で周知する |
全て「✔」できればOK!
就業規則を作成する際には、法的なアドバイスを得ることがとても重要です。就業規則作成の専門家である社会保険労務士事務所に相談されることをおすすめします。社会保険労務士のアドバイスのもと、法律を遵守した適切な内容の規則を作成することで、企業と労働者双方にとって最適なルールを作成することができます。
以上のように、就業規則の作成は企業運営において極めて重要なプロセスであり、その作成と運用は企業の責任と言えるでしょう。適切に作成された就業規則は、企業と労働者が共に成長し、発展していくための基盤となるのです。
なぜ労働者数が10人未満の企業では、作成が義務づけられていないのですか?明確な理由はありますか?
日本における就業規則の作成に関して、労働者数が10人未満の企業で作成が義務づけられていない理由は、主に管理の負担と企業規模の関係に基づいています。小規模企業では従業員数が少なく、労働環境や労働条件が比較的単純であることが多いため、就業規則を詳細に定める必要性が低いと考えられています。また、小規模事業者に対して過度な管理負担を課すことなく、柔軟な運営を可能にするための措置とも言えます。
厚生労働省は、労働者数が10人以上の企業に対して就業規則の作成と労働基準監督署への届出を義務付けていますが、10人未満の企業については任意としています。ただし、10人未満であっても就業規則を作成し、届け出ることは可能であり、これにより企業と労働者の間のルールが明確になり、トラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。
また、労働基準法では、労働者数に関わらず一定の事項(例えば、労働時間、休日、賃金の計算方法および支払い方法など)については、労働者に明示する義務があることを定めています。したがって、10人未満の企業であってもこれらの事項は労働者に通知する必要があります。
総じて、就業規則の作成義務の有無は、企業の規模と運営の実情を考慮した結果であり、労働環境の健全な維持と企業の負担のバランスを考慮した措置と言えます。
労働基準監督署への届け出について質問です。弊社では本社以外に2拠点の支社があり、それぞれ労働者数が10人を超えています。この場合、それぞれの地域にて別々に届け出をする必要があるのでしょうか?
届出は、就業規則一括届出制度を利用することより、本社の所在する地域の労働基準監督署に他の支社の分もまとめて提出することが可能です。ただし、この制度は本社とそれ以外の支社での就業規則の内容が同じである場合のみに利用することが可能な制度となっているため、支社独自、本社独自のルールがある場合はこの制度を活用することはできません。また、この制度を利用する場合であっても、それぞれの支社における労働者の代表の意見書も併せて提出する必要があります。
弊社では本社に30人、支社Aに12人、支社Bに8人の労働者がいます。
この場合就業規則を作成して届け出る必要があるのは、本社と支社Aだけでよいのでしょうか?
就業規則の作成と届け出ることが義務化されているのは、事業場毎に労働者が10人以上の場合です。また、10人未満の事業場においては、修行規則の作成および届出は任意となっておりますので、基本的には届け出る必要はないといえるでしょう。
ただし、今後社員数を増やす可能性があれば、他の事業所と同様に作成して置くことをおすすめします。本社や支社Aにはあるのに、支社Bにはないとなると、支社Bで働く方々のモチベーションが下がる可能性もあるかもしれません。
また、支店Bにて従業員とのトラブルになった際に、本社や支社Aと同じ対応をすることができなくなります。例えば、本社や支社Aでは、就業規則にて、降格や減給についてのルールが定められていたとしても、支社Bの労働者にはこのルールは当てはまらないことになります。
就業規則を作成する際のテンプレートに関してご紹介します。厚生労働省のホームページでは、モデルケースとなる就業規則のテンプレートや、労働者の代表の意見をまとめる為の意見書のテンプレートを公開しています。
詳しくは厚生労働省のサイトをご確認下さい。(2024年2月現在の情報)
厚生労働省サイトの「モデル就業規則・テンプレート」はこちら>
業種別の就業規則作成では、IT業界、小売業、飲食業それぞれの業種特有の課題に注目し、それに合わせた規則を設定することが重要です。IT業界では、技術革新の速さ、プロジェクトベースの仕事、リモートワークの普及に伴う労働時間の管理やセキュリティ、知的財産権の取り扱いが重要なポイントとなるでしょう。
一方、小売業ではシフト制の勤務管理、パートタイムやアルバイト労働者の取り扱い、季節による業務の変動などが特徴的です。
飲食業においては、衛生管理の徹底、労働時間の調整、繁忙期と閑散期の人員配置の調整が必要です。
これらの業種固有の特徴を踏まえた就業規則を策定することにより、企業は法令遵守を保ちながら、労働者の権利を守り、良好な労働環境を提供できます。
また、業種特有のリスクや課題に対処するための明確なガイドラインを提供することで、企業と労働者双方の理解と協力が促進されるでしょう。さらに、就業規則は定期的に見直しを行い、社会の変化、法令の改正、企業の成長や変化に対応することが重要です。
結論として、IT業界、小売業、飲食業の各業種において、業種特有の注意点を考慮した就業規則の策定は、企業の持続的な発展と労働者の満足度の向上に寄与します。これにより、企業は競争力を保ちながら、労働者との良好な関係を築き上げることができるでしょう。
就業規則の効力を確保するためには、従業員への適切な周知を行うことが義務付けられています。この周知を怠った場合、就業規則はその効力を持たない可能性がありますので、必ず適切な方法で周知するようにしてください。
ここでいう周知とは、一人ひとりに個別で就業規則を渡し、内容を確認したことを把握すると言うようなことではありません。
周知とは、全社員(パートやアルバイトを含む雇用される全ての人)が見ることができる環境を用意することを言います。
職場内の掲示、社内共有フォルダへのアップロード、冊子の配布などが一般的です。掲示は目に付きやすい場所に就業規則を掲示し、常にアクセス可能にします。
共有フォルダは、デジタル化された就業規則を社内ネットワークやクラウドシステムに保存し、必ず全従業員(パートやアルバイトも含む)がアクセスできるようにします。
冊子の配布では、新入社員や既存の社員に対して印刷された就業規則を直接配布します。これらの方法を通じて、従業員が就業規則の内容を十分理解し、それに従うことが期待されます。
冊子での配布の場合は配布漏れが起こらないようにしましょう。冊子配布を行う場合は、他の方法と併用することで、「渡し忘れ」や「渡されていないという主張」などのトラブルを防止できるでしょう。
全社が必ず出社するような事業場においては、就業規則を紙媒体(現物のコピー)にて特定の場所に保管し、そのもの自体が紛失していないかを定期的にチェックするのが良いでしょう。
コロナ過にて普及した在宅勤務やテレワークの導入により、会社に出社しない形態での働き方も、珍しくありません。全社員が出社することを義務づけられていないような企業においては、全社員が閲覧することのできるインターネット環境(又はイントラネット環境)等にて、就業規則を公開することで、周知したことにすることができます。
就業規則及び意見書以外にも、賃金規程や育児・介護休業規程などがある場合は合わせて提出する必要がある。全ての必要書類をホッチキスなどで綴る
※詳細は厚生労働省資料ポイント8をご確認下さい
主任以上の職にある者に新たに55歳停年制(一般従業員は50歳)を設ける就業規則の変更によって解雇された従業員Xが、本人の同意のない就業規則の変更には拘束されないから、その解雇は無効であるとして雇用関係の存在確認を求めました。
最高裁は、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者が同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと判断し、申立てを棄却しました。
(参照:「確かめよう労働条件 裁判例」厚生労働省)
ポイント:就業規則の変更において、労働者全員の合意をとる必要はない。
得意先の担当者らの要望に十分応じず、トラブルを発生させたり、上司の指示に対して反抗的態度をとり、上司に対して暴言を吐くなどして職場の秩序を乱したりしたなどとして、直前に修正施行された新就業規則の懲戒条項に基づき懲戒解雇された従業員Xが、就業規則が所定の手続きを経て労基署に届け出られたのは、本件解雇の直前であり、また、新旧両方の就業規則はXの事業場には設置されておらず、内容を知ることもできず、周知もされていない状況だったため、周知されていない就業規則に基づく解雇は違法であるとして、その決定に関与したY社の取締役Y1ら3名に損害賠償を請求しました。
第一審では、懲戒解雇に関する事項は新旧療法の就業規則に記載があり、新就業規則は旧就業規則の内容をより詳細なものにしているだけであるため、従業員Xの主張は受け入れられないとした。
しかし、最高裁にて、懲戒処分には就業規則上の根拠と適用される労働者に周知されていることが必要であるとし、この点を認定しないままの大阪高裁の判断は違法であるとして、破棄差戻しました。
(参照:「参考となる主な裁判例」厚生労働省)
ポイント:
法的に認められた就業規則でも社内での周知ができていないとその効力は無効になる可能性がある。
就業規則は、企業の「ルールブック」として機能し、従業員と雇用者の双方に明確な指針を提供します。効果的な就業規則は、法律遵守だけでなく、働きやすい職場環境の構築にも寄与します。以下に、具体的な要素を挙げ、それぞれの項目について詳述します。
効果的な就業規則は、法的要件を満たすだけでなく、従業員のモチベーションと職場環境の向上に寄与します。これには、透明性のあるコミュニケーション、公平な労働条件、健康と安全への配慮、そして職場の多様性と包摂が含まれます。定期的な見直しとアップデートにより、就業規則は時代と共に進化し、企業の成長と従業員の満足度向上のための重要なツールとなります。

社名変更のお知らせ
このたび弊社は2023年8月4日(金)付けで下記のように社名を変更いたしました。
よりよいサービスをご提供できるよう、グループ企業全体で取り組んでまいります。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
旧社名:Moffy社会保険労務士法人
新社名:ACCS社会保険労務士法人
※住所、電話番号の変更はございません

就業規則は適切なタイミングでチェック 法改正に合わせて変更が必要な場合も
2023年4月から、時間外労働における割増賃金率の引き上げや、育児休業取得率の公表など、従業員の労働環境に影響を及ぼす労働法関連の改正が施行されます。この改正にあわせて、企業は就業規則の見直しを進める必要があります。今回は、2023年に施行される二つの法改正と、就業規則の見直しについて解説します。
2023年4月から施行される労働法関連の法改正のうち、企業への影響が大きなものは二つあります。一つは、時間外労働の割増賃金率の引き上げです。
中小企業では、従業員の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は25%以上ですが、2023年4月からは50%以上に引き上げられます。この割増率は2010年の労働基準法改正から、大企業に適用され、中小企業は猶予されてきましたが、いよいよ猶予措置が終了し、中小企業にも適用されることとなりました。新たに適用となる中小企業においては、就業規則の変更が必要になります。該当条項について、「月60時間を超える時間外労働に関する賃金の割増率は50%とする」といった表記に変更しておきましょう。就業規則を変更しなかった場合でも、法定の基準に引き上げられるので注意が必要です。また、『中小企業』に該当するかどうかは、業種によって条件が異なります。厚生労働省の資料で確認するか、専門家に確認するなどして、適切に運用できる体制を整えていきましょう。
2023年4月に施行される法改正のうち、もう一つ見逃せないのは、育児休業等の取得状況について年1回公表が義務化されることです。こちらは従業員数1,000人超の企業に適用され、『男性の育児休業等の取得率』か『育児休業等と育児目的休暇の取得率』のどちらかを公表することが定められています。この法改正は、従業員の仕事と育児の両立を支援する一連の施策に基づくもので、2022年4月から有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和や、産後パパ育休の創設、育児休業の分割取得などが段階的に進められてきました。育児休業取得状況の公表は、その最後の施策となります
労働基準法では、常時10人以上の従業員を使用している企業に、就業規則を定めること、その就業規則を所轄の労働基準監督署に届け出ることを義務化しています。さらに、就業規則は「法令や労働協約に反してはならない」と定められており、法改正があれば、その都度、変更する必要があります。変更したら労働基準監督署に届け出なければなりません。
手順としては、従業員の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合の意見を、労働組合がない場合は、従業員の過半数を代表する者の意見を聴取し、意見書として提出します。なお、意見の聴取については、必ずしも従業員の合意を得る必要はありません。策定され届出がなされた就業規則は、従業員に周知しなければならないと定められています(労働基準法第106条)。作業場の見やすい場所への掲示、書面での交付、PDFでの配布などの方法で、従業員へ周知することを忘れないようにしましょう。
就業規則は従業員が安心して働き、労使間の無用なトラブルを防ぐためのルールです。法改正は頻繁に行われるため、年に1回はチェックし、適宜変更しておくと安心です。

切り捨ては違反! 給与計算における端数の扱い方とは
事業者は従業員の労働時間を正確に把握して、その時間分の給与を算出する必要があります。しかし、アルバイトやパートの給与を、15分、5分単位などで小刻みに計算し、それ以下は切り捨てている事業者も少なくありません。端数の切り捨ては賃金の未払いになってしまいます。そこで今回は、労働時間についての正しい考え方や計算方法を確認します。
賃金は労働の対価として使用者から労働者に支払われるものです。労働基準法第24条では、賃金について、全額支払いの原則を定めており、従業員の労働時間に応じた適正な賃金が“全額”支払われていなければ、労働基準法違反となります。
同法によれば、原則として、労働時間は1分単位で考えるのが適正とされており、1分単位の端数の切り捨ては賃金の未払いになります。たとえば、時給を15分単位で計算していたとして、アルバイトが16時56分にタイムカードを打刻すると、16時46分から16時56分の間は切り捨てることになります。しかし、この間も賃金は発生し、その賃金が支払われていなければ、賃金の未払いになります。連日のように端数の切り捨てが起きているのであれば、未払い賃金の総額は相当な額になることが予想されます。
ガストやジョナサンなどを運営するファミリーレストラン最大手のすかいらーくホールディングスが、パートやアルバイトなどの全クルー約9万人に支払う賃金について、2022年7月以降、これまでの5分単位から1分単位に改めることがニュースになりました。また過去2年間に、切り捨てられていた5分未満の未払い金の合計、約16億円を支払うことも発表されました。
すかいらーくホールディングスは、1分単位で計算する新しい勤怠管理方式を導入したとはいえ、未だに5分や15分単位で労働時間を計算している会社はたくさんあります。たとえ長年同じ方式で計算していて、就業規則に記載されていたとしても、端数の切り捨てによる賃金の未払いは労働基準法違反になることを理解しておきましょう。
1日の労働時間の切り捨ては認められていませんが、時間外労働や休日労働、深夜労働の割増賃金については例外的な扱いが認められています。事務処理をわかりやすくするため、その月の総労働時間数に30分未満の端数がある場合には切り捨て、30分以上の端数がある場合には1時間に切り上げて計算してもよいことになっています。つまり、月ごとの端数の切り捨てや切り上げは認められていることになります。たとえば、1カ月の時間外労働が15時間20分であれば、この20分は切り捨てることができます。一方で、1カ月の時間外労働が15時間40分の場合は40分を1時間に切り上げて16時間として割増賃金の算出を行ないます。
ただし、これらの措置は割増賃金に限られており、通常の労働時間は1分単位で計算する必要があります。端数の切り捨てによる賃金の未払いは労働基準法違反となるため、従業員の告発などによって、労働基準監督署から是正のための勧告や指導が入る可能性もあり、悪質な場合は送検されることもあります。労働基準法120条では30万円以下の罰金刑が定められています。さらに、従業員や労働組合から請求を受けた場合はこれまでの未払い分を支払う必要があります。労働者には過去の未払い賃金を請求できる『賃金請求権』という権利があります。この賃金請求権の消滅時効期間がこれまでの2年から5年(当面は3年)に延長されており、これにより訴訟リスクも増えると予想されます。
未払い賃金が発生しないように、1分単位で計算できる勤怠管理システムを導入するなどして、日頃から適切な給与計算を行っていきましょう。

会社の倒産に伴う従業員への解雇予告と不足日数分の解雇予告手当について
会社が破産すると、その会社は消滅してしまいます。したがって、正社員やパート、アルバイト問わず、すべての従業員が解雇の対象となります。解雇を行う場合は、従業員に対して少なくとも、30日前までに解雇の予告をする必要があります。今回は、会社の倒産に伴う解雇の進め方について説明します。
解雇とは、会社側が従業員と締結している労働契約を一方的に解除することです。そして、解雇予告とは解雇を従業員に通知することをいいます。解雇に踏み切る理由はさまざまですが、そのひとつに、事業の継続が難しくなって会社が倒産する場合があります。会社が消滅するわけですから、会社をたたむ手続きと同時に、雇用している従業員に対しては、『解雇予告』を行う必要があります。
会社の倒産は、経営者はもちろん従業員にとっても重大事件です。倒産までに再就職の準備を行う期間を設ける必要があります。そのため労働基準法では、従業員が急に解雇を告げられ、生活に困窮しないよう、『少なくとも30日前に解雇の予告をする』と定めているのです。
たとえば、7月31日付けで解雇する場合には、最低でも7月1日には解雇予告を行わなくてはいけません。解雇予告を行った日は、予告日数である30日には算入しないので注意が必要です。
解雇予告は、口頭で行うことも可能ですが、予告したことを後からでも証明できるように、『解雇通知書』や『解雇予告通知書』の交付をおすすめします。解雇
通知書とは、雇用契約を解除することを記した書類です。解雇日や対象者の名前のほか、従業員の求めに応じて、使用期間や解雇事由なども記載します。
この通知書は、従業員が失業保険の支給を受ける際に、解雇されたことを証明する書類にもなります。解雇予告を行った日から解雇日までの間に用意しましょう。
もし、解雇予告を行ってから解雇日までの日数が30日に満たない場合、会社側は、従業員に対して不足している日数分の平均賃金(直前3カ月に支払われた賃金総額÷3カ月の総日数)を支払う必要があります。この賃金のことを『解雇予告手当』と呼びます。
たとえば、解雇日の10日前に解雇予告を行った場合は、30日-10日=20日分の解雇予告手当を支払うことになります。万が一、解雇予告を行わず、即日解雇する場合は、30日分以上の解雇予告手当を支払わなくてはなりません。
ただし、会社の財務状況によっては、賃金の未払いが発生しているケースもあるでしょう。もし、未払いの給与と解雇予告手当のどちらかしか支払えないのであれば、解雇予告手当を優先して支払いましょう。
未払いの給与に関しては、『未払賃金立替払制度』があります。いくつかの条件を満たせば、全国の労働基準監督署および独立行政法人労働者健康安全機構が、事業者の代わりに未払い賃金の一部(8割程度)を立て替えてくれます。
ちなみに、財政難や税金の滞納処分を受けての倒産ではなく、火災や地震で事業所が消失したなど、やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となる場合もあるでしょう。その場合は、労働基準監督署長から『解雇予告除外認定』を受けることで、解雇予告をせずに従業員を解雇することが可能となります。
倒産はやむを得ない場合でも、従業員がその後の生活に困らないように、できるだけ真摯な対応をとれるようにしておきましょう。

『労働条件通知書』の記載内容を理解して 『雇用契約書』との違いを把握しよう
労働基準法第15条第1項では『労働者を採用して雇用する際に企業側は労働条件を明示しなければならない』と規定されています。労働条件は原則的に書面で
交付することになっており、その書面のことを『労働条件通知書』と呼びます。今回は、労働条件通知書について解説します。
労働条件通知書には、アルバイトや正社員を問わず、全ての従業員の労働条件を記載する必要があります。
労働基準法によって書面の交付が定められている項目は、『契約期間』、『就業場所』、『従事する業務』、『始業・終業時刻』、『休憩』、『休日』、『賃金の決定方法』、『賃金の支払時期』、『退職』などに関する事項です。
また期間の定めがある契約を更新する場合には、更新の基準についても記載しなければいけません。さらに、『退職金』、『賞与』、『安全衛生』、『職業訓練』、『災害補償』、『表彰』や『制裁』、『休職』などに関する事項も、企業がなんらかの規定を定めている場合は明示する必要があります。
基本的には、新たに人を雇用する際に、事業主側から従業員に労働条件通知書を渡すことになりますが、書式に決まりはなく、必要事項が記載されていれば、どのような形でも構いません。厚生労働省では、ホームページで労働条件通知書のモデル様式を公開しているので、参考にするとよいでしょう。
また、これまで労働条件通知書は“書面”による交付に限られていましたが、最近では、労働者側が希望した場合に限り、FAXや電子メール、LINEやメッセンジャーなどでの交付も可能になっています。これらを利用する場合は、印刷が可能なPDF形式での送付もおすすめです。なるべく出力して保管するように伝えましょう。
そして、もし従業員側が書面での交付を希望した場合は、書面を渡す必要がありますので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
雇用契約を結ぶ際に渡す労働条件通知書と同様に、労使間で交わす書面として、労働条件通知書のほかに、『雇用契約書』があります。雇用契約書は、事業者と従業員の両者が捺印・署名をする必要があります。基本的には2部作成し、1部は会社が、もう1部は従業員が保管します。
雇用契約書は、労働条件通知書と別々に作成することもできますが、労基法で定められている労働条件を記載すれば、労働条件通知書の役割を兼ねることもできます。実務上は両者を兼ねた『労働条件通知書兼雇用契約書』を作成することがほとんどです。これにより、事務的な労力を減らすことが可能です。
また、書面があることは、労使間の思い違いを防ぐことにもつながります。たとえば、従業員側から入社後に「こんな労働条件は聞いていない」といわれたとしても、捺印・署名がある労働条件通知書兼雇用契約書があれば、会社側も反論することができます。
これらの契約は、電子署名や電子印鑑などを使って交わすことも可能です。書類の電子化は業務・管理の効率化や、プライバシー保護の観点で、メリットがあります。電子署名・電子印鑑は郵送でやりとりする必要もないため、リモートワーク環境にも対応しやすく、導入する企業が増えています。さまざまな電子契約システムやサービスもリリースされているので、活用するのも一つの手です。
自社の労働条件通知書や雇用契約書を見直し、現状に即した適切な作成と保管方法を考えていきましょう。
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